蜘蛛を夜殺すのは駄目なの?毒の有無の見分け方や退治方法は?

生活の知恵


先日家で10cm近い巨大な蜘蛛が出ました(足の長さを含んだ大きさです)。
子供が発見して大騒ぎになり、「退治して!」と言われたのですが、蜘蛛は益虫だから殺してはいけないと言いますし、「蜘蛛を夜殺すのはいけない」「朝の蜘蛛を殺すのがいけない」等の昔からの言い伝えもあるので、蜘蛛を殺すことには罪悪感があるのです。

こんな場合、どうしたら良いでしょうか。
今回は、蜘蛛にまつわる言い伝えや、毒蜘蛛の見分け方や、罪悪感を感じる場合の退治についてお話しします。

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蜘蛛を夜殺すのは駄目なの?

蜘蛛にまつわる言い伝えは様々ありますし、地域によっても言うことが逆のこともあります。

(1)朝の蜘蛛は来客がある前兆とする言い伝え
「朝蜘蛛が下がれば客がくる」

(2)夜殺すのがOKの言い伝え
「朝の蜘蛛は福が来る、夜の蜘蛛は盗人が来る」
「朝の蜘蛛は敵でも逃がせ、夜の蜘蛛は親でも殺せ 」
「朝の蜘蛛は金運が上がる夜の蜘蛛は盗難にあう」

(3)夜の蜘蛛が縁起が良いという言い伝え
鹿児島では蜘蛛を「コブ」とも云うことから、夜のコブは「ヨロコブ」で縁起が良いという解釈です。

どちらかというと、朝の蜘蛛のほうが縁起が良く、夜の蜘蛛は縁起が悪く殺すという言い伝えが多いのですが、朝と夜の違いについて科学的な根拠はないようです。
ただ、殺すか否かの問題については、蜘蛛が他のダニやゴキブリ等の害虫を食べてくれる益虫なので、できれば殺さないでおくほうが良さそうです。

蜘蛛の毒の有無は見分け方があるの?

日本には毒グモはいないかと思い込んでいたのですが、実際には、
「ほとんどの蜘蛛は虫を殺す目的の毒を持っているが、その強さは人間が咬まれた場合に影響がない程度」
であり、人間を殺すほど強い毒性のある蜘蛛はごく僅かです。
毒蜘蛛かどうかの見分け方はなく、その都度覚えるしかないそうですが、日本で確認されている毒蜘蛛は、現在オーストラリア原産のセアカゴケグモやハイイロゴケグモくらいです。
セアカゴケグモについては2013年頃から咬まれた人がいるというニュースがあり、現在では35もの都府県で発生が確認されており各市町村の保健所等が注意喚起を促しています。

セアカゴケグモ(毒グモ)

seakagokegumo
(著作権者:Fir0002 ライセンス:CC BY-SA3.0 wikipedia

セアカゴケグモはメスだけ毒があり、体長約0.7~1.0cm程度で体全体は黒色ですが、腹部背面と腹面に赤色の模様があるのが特徴です。
ちなみにオスの体長は0.4~0.5cmで腹部の背面は灰白色であり、簡単に雌雄の区別が可能です。

この蜘蛛に咬まれた場合、痛み、かゆみの他に発熱やリンパ節の腫れが出ます。数時間から数日で症状が治まることが多いのですが、場合により頭痛や筋肉痛、力が入らない、眠れない等の症状が暫く続く可能性もあり、十分注意が必要です。

ですので、見つけても素手で捕まえようとしたり触ったりしないようにしましょう。 なお、周囲に他のセアカゴケグモが隠れているかもしれないのでよく確認する必要があります。

駆除する場合は、家庭用殺虫剤(ピレスロイド系)か、熱湯をかけるか、靴で踏みつぶす等の方法で行いましょう。また、見つけた場合には保健所へ届け出が必要な自治体もあります※。

ちなみに蜘蛛は肉食性の陸上節足動物の一種ですが、いわゆる「昆虫」とは異なります。
昆虫は脚の数が6本ですが、蜘蛛は8本ですし、昆虫にある「頭部と胸部の境界」ははっきりしていませんし、触角もありません。

蜘蛛に噛まれた場合は病院だけで良いの?

蜘蛛に噛まれた場合、できるだけ早く病院で診察してもらうべきです。
ただ、それ以外にも、自治体への報告をした方が良いのですよね。

環境省外来生物対策室では、セアカゴケグモを見つけた場合は、住んでいる自治体に連絡するように、と指示する他、見つけた時の対処方法についても簡単に書かれています。
→環境省外来生物対策室:セアカゴケグモに関するパンフレット

ただ、実際の対応は環境省でなく各自治体が行うことになっており、対応方法が統一されていません。

例えば、東京都世田谷区の場合は、HPに書かれていますが「見つけたら、世田谷保健所生活保険課に連絡する」となっています。

ですが、東京都の他の市区町村を見ると、保健所への連絡についての記載がない地域が多かったです。

ただ、これらを包括する東京都福祉保健局(東京都西多摩保健所)のHPには、「セアカゴケグモ等の特定外来生物を大量に発見した場合、その市町村の外来生物担当部署等へ相談する」という内容が書かれているので、咬まれた場合には病院にかかる以外に保健所にも連絡した方が良いでしょう。

アシダカグモ(毒の心配はない)

ちなみに、よく家の中で見かける蜘蛛ですごく大きなものといえば、アシダカグモです。
今回我が家で発見したのもこの蜘蛛でした。

(著作権者:photolibrary
メスの体長は2~3cm、オスの体長は1~2.5cm程度で脚まで入れた長さは10~13cmにもなります。
国内では最大級の大きさの蜘蛛で、毒の心配はなく、家の中に隠れて住んでおり、夜行性でゴキブリなどを捕らえて食べてくれる益虫です。

そして、蜘蛛は人間のような体の大きい生き物に対して攻撃的になることは殆どなく、近寄ると必死に逃げようとします。

蜘蛛の退治方法は?罪悪感がある場合はどうする?

アシダカグモがいるということは、ゴキブリがいる証拠です。
ゴキブリがいなかったら家の中で食べるものがなくて困って別の場所に移動するそうですから、できれば、退治するのでなく見逃しておくほうが良いでしょう。

でも、我が子のようにあまりの大きさにビックリして恐怖心を抱くこともありますよね。
そして、1匹だけならともかく、数匹、数十匹もいたら、大人だってパニックになるかもしれません。

ですので、次に退治することを考えましょう。

殺す目的の場合

(1)殺虫剤を使って殺す

これは夫が職場で使っているそうですが、かなり効果が高い反面すぐに無くなってしまうと言っていました。(使い方が激しいのか、中身が少ないのかは不明です。)

(2)風呂用スプレー式洗剤
蜘蛛を殺す目的だけでクモの巣消滅ジェットを買うのは勿体無いですよね。
ですので、私は家で日常使っている、風呂用スプレーの使用を考えてます。
ゴキブリやアリにも使えますが、動きの素早い蜘蛛の場合でも、スプレー式洗剤ならシュッと一吹きで殺虫剤代わりに使えます。

ですが、アシダカグモはゴキブリを駆除してくれるため、ゴキブリを駆除してからアシダカグモの退治を考えないと、「蜘蛛は退治できたけど、ゴキブリがたくさん出てきて困る」状況に陥ります。

また、ゴキブリがいると、外部からまた別のアシダカグモが侵入して住みついてしまうため、まずはゴキブリ駆除が重要なのです。
当然、侵入経路としての壁やサッシなどの隙間を塞ぐことは重要ですが、完全に塞ぐのは難しいでしょう。

殺すことに罪悪感がある場合

蜘蛛にまつわる言い伝えが迷信と分かっていても殺すことに罪悪感を抱く人もいますよね。
その場合は、次の道具を使うなどして、捕まえて逃がすことを考えましょう。

(1)虫捕り網
アシダカグモはゴキブリを捕まえるのが得意ですから、動きはゴキブリよりも素早いです。
ですので、下手な道具を使うと逃げたり、誤って潰して死んでしまうこともあります。
(私の経験では、うっかり小さい紙コップで捕獲しようとしたら脚を2本踏んでしまい取れて、可哀想なことをしてしまったことがあります。)

虫捕り網は大きいのでサッと捕まえやすいです。
捕まえたら網の中から出難いので、出る前に外に持っていき、放してあげましょう。
もしそこで出てこなければ、暫く網ごと外に置いておけば出ていってしまいます。

(2)牛乳パック
虫捕り網がない場合は、ちょっと小さいのですが牛乳パックを使うのが便利です。
牛乳パックは中がツルツルしているので、もしこれで捕獲できれば蜘蛛が上がってこれなくなります。
その間に外に持っていき、逃がしてあげましょう。

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まとめ

大きい蜘蛛を見ると怖いのですが、ゴキブリを食べてくれる益虫なので、殺すことを考えずにできれば見逃しておきましょう。
どうしても嫌な場合は、風呂用洗剤などでも殺せますが、できれば逃がしてあげたいものですね。
そして、どちらにせよ蜘蛛の前にゴキブリ駆除は必須です。

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コメント

  1. 匿名 より:

    愛知県瀬戸市の保健所では、「ウチじゃクモを扱ってないから、他へ連絡してよ」と門前払いです。

    • ゆきえ より:

      匿名さま

      コメントありがとうございます。

      自治体によって対応が違っているのですね。
      私の方でもいくつか調べて確認しました。
      国(環境省)の方では自治体への報告を、となっていたのですが、
      その下である都道府県の対応から報告についての記載がなかったり、
      更にその下の市区町村になっても同様にバラバラ、という感じのところが多かったです。

      記事中の内容を訂正と補足しておきましたので、よろしければご確認ください。
      ありがとうございました。

  2. ONOJI より:

    母は、母から聞いた話し相手として「夜蜘蛛よう(よく)来た」と言って殺してはいけない、と言っていました。
    漫画か何かで「夜蜘蛛よう(よくも来た)」と殺すべき(に近いニュアンス)、とありました。
    地域差が大きい事に驚きますが、毒蜘蛛でもなければ、むやみやたらに殺さないのが正しいのかもしれませんが

    • ゆきえ より:

      ONOJIさん

      コメントありがとうございます。

      夜の蜘蛛、本当に色々あるのですね。
      我が家でも、私は殺してOK、と親から言われて育ったものですが、夫は駄目だと主張して、結婚当初に喧嘩になった記憶があります・・・。
      まあ、どちらにせよ、ゴキブリやダニ等の害虫を食べてくれる虫なので、今は見つけてもそっと見守ることにしております。

  3. ぱりぴのアホ より:

    私さっきアシダカグモが出たのですごくこれやくだちます!ゴキって殺虫剤だと卵が残るって聞いたことあるんですけど蜘蛛も同じ何ですかね?

    • ゆきえ より:

      ぱりぴのアホさま

      コメントありがとうございます。

      >私さっきアシダカグモが出たのですごくこれやくだちます!ゴキって殺虫剤だと卵が残るって聞いたことあるんですけど蜘蛛も同じ何ですかね?

      ・・・お役に立てたようで良かったです。

      蜘蛛の卵はゴキブリのとはちょっと違うのかなあと思うのですが、蜘蛛の卵の生態に詳しくないので正確なことは分かりません。ごめんなさい。
        ↑
      念のため、「違うのはないか」と思った点について以下書きます。

      ゴキブリは卵を産んだら産みっぱなしなんです。(だから、頑丈な「がま口」のような硬い卵に入っているのかも。)

      でも、蜘蛛は孵化するまで卵を卵嚢に入れた状態で、口やお腹に抱えたりして行動しますし、孵化して数日間程度は親が世話をします。その後自立したら、卵の入っていた卵嚢を食べて子育て完了、という形のようです。
      なので、親が殺虫剤で死んだ場合、卵状態だと親がいなくても育つのか?という疑問があるし(もう産まれる寸前なら出てくるかもしれませんが)、産まれた場合に自立するまで成長できるのか、という疑問もあります。

      蜘蛛は一度に300個くらい卵が産まれるのですが、そのうちちゃんと大人になるまで生き残れるのはごく僅かだそうです。ゴキブリのように一匹見つけたら30匹は家に隠れている、というような爆発的な増殖の仕方はしません。
      蜘蛛は多くの虫と同じように生存競争厳しい生物であり、ゴキブリのような逞しさはありません。
      そういう点を考えると、蜘蛛の卵って意外と弱いんじゃないかと。

      ネット情報を色々探してみたのですが見当たらないのですよね。そもそも、基本的に蜘蛛は害虫ではないので、そもそも殺すのは推奨していないし、ゴキブリのような「卵があるかもしれない」という注意もする必要がない生き物ですし・・・。

      という感じなので、推測でしかお話しできませんでしたが、何か参考になれば幸いです。

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