医療費控除で出産が年をまたぐ場合の出産一時金や妊婦健診補助金は?

季節のはなし


出産で確定申告の医療費控除を受けられるケースは多いけど、

「12月末出産で1月退院」

という年をまたぐ場合はどの時点で行うのでしょうか。
また、出産一時金や妊婦健診補助金はどのように扱うのでしょうか。

今回は、年またぎの場合の出産費用の医療費控除について、多くの人が迷う点についてお話しします。

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医療費控除で出産が年をまたぐ場合は?

医療費控除は「いつ支払ったか」が判断基準になります。
入院と退院が年をまたぐ場合、多くの場合は退院する時点での精算となるため、退院日が支払日となり、その年の分として確定申告を行うことになります。

ちなみに、予約金(頭金)を支払った場合、退院日に精算する際に、予約金(頭金)を差し引いた額を支払うことになります。そのため、予約金が前年であっても、最終精算日(退院日)が全ての支払日という扱いであり、その年の分として確定申告します。

医療費控除で出産一時金がある場合は?

出産育児一時金や付加給付は出産費用に対する給付なので、「出産費用から出産育児一時金を控除した額」が医療費控除の対象となります。そして、確定申告の際には添付書類である「医療費控除の明細書」に、支払った金額と出産育児一時金の両方を記載することになります。

ちなみに、出産費用は病院によっては安く済むため、出産一時金の方が多く、おつりがくるケースもあります。ですが、出産育児一時金は出産費用に対する助成金なので、他にかかった医療費があったとしても、そこからは差し引かなくて大丈夫です。

また、年をまたぐ場合の出産育児一時金の扱いについては、既にお話ししたように、「いつ支払ったか」という支払日基準の考え方ですから、出産費用が前年、出産育児一時金の給付が今年というように、年をまたぐ場合であっても、費用支払日(この場合は前年)に対応する形で医療費控除を行います。

よく、入院がまたがった場合に、「費用を按分するのではないか?」という意見もあります。これは、国税庁のHPに、
医療費を補する保険金等の金額のあん分計算
という記載があるからなんですよね。

このことについて税務署に電話確認したところ、「出産育児一時金の場合は基本的に按分という形にはなりませんよ。出産費用に対応するものなので、いつ出産費用を支払ったか、という点から、支払日の属する年の分として確定申告してください。」と言われました。

ちなみに、このHPの記載は、年をまたぐ場合の入院費用に対する保険金を「支払日を基準として」按分するという回答です。病院の場合、通常は月末締めの支払いになることや、入院に対する保険金給付が1日数千円など、日割りで費用と応対する関係なので、期間で按分するのは理に叶ったこと(12月にかかったものは12月に支払い、1月にかかったものは1月に支払うため)です。

でも出産の場合、正常分娩であれば入院期間は4~5日で終わるし退院時にまとめて1回で支払うことになります。支払が1回である以上、按分計算にはならないのです。

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医療費控除で妊婦健診の補助金がある場合は?

出産時だけでなく、妊娠中の健診や検査費用についても医療費控除の対象になります。ただ、妊婦健診は自治体からの助成があるので、その金額を差し引いた額のみが対象です。
この場合も出産育児一時金と同様に、確定申告の際に記入する「医療費控除の明細書」には、支払った金額と、補助金の両方を記載することになります。

余談ですが、この補助金は自治体によって金額が様々で、自分で払う額が殆どない市区町村があれば、結構支払が多いところもあります。

エコー検査は医療費控除できるの?

補助金に関係している話になりますが、意外とよく医療費控除の中で悩むのが妊婦健診におけるエコー検査の費用です。
エコー検査は医師が行う(=「医師が認めた」)ものですから当然、医療費控除の対象となります。ただ、不思議なのが、自治体によって、エコー費用を全額補助してくれるところもあるのですが、数回分のエコー費用しか補助してくれないところもあるのですよね。

単にその自治体が「ケチ!」なのかというと、そうでないのかもしれません。(いや、その自治体の財源が実際に厳しいのかもしれませんが。)
実は、エコーは、医学的な見地からすると、妊娠初期の段階で子宮内の正常妊娠が確認できたら、その後は中期と後期に1回程度行って、大きな病気が胎児に見つからなければ大丈夫という話なので、全額認めている自治体もあれば、数回分しか認めていない自治体もあるようです。

この話を聞くと妊婦にとっては驚きかもしれませんが、そもそも産婦人科医なら、エコーで確認しなくても、音の確認だけで胎児に異常がないか分かるのだとか。エコーは念のため、の措置のようです。それに、多くの産婦人科の病院では当たり前のようにエコーがあるけれど、助産院だとエコーがないところも少なくないですしね。

でも、そんな事実を知らない妊婦にとっては、胎児の成長をエコーを見るのが毎回楽しみだったり、記念に残したい、という希望も多いです。そして、病院によっては最後にDVDにしてもらうことも出来るのだとか。なので、妊婦側としては「どうして毎回エコーするのに補助金出してくれないの?」と不満かもしれませんが、医学的に毎回必要なものではないため補助してもらえない。でも、医師は「念のため」ということで毎回確認するという病院もある。という温度差が生じている状況なのです。

ちょっと脱線してしまいましたが、エコーについての確定申告のポイントは、以下の通りです。

  • エコー検査→「医師による診療」なので医療費控除の対象となる。
  • エコーをDVDにする際の費用→「医師による診察ではない」ため、医療費対象とならない。

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さいごに

出産の前後には多額の医療費がかかりますが、出産一時金や妊婦健診補助金等の給付を差し引いた金額が医療費控除対象となります。年をまたぐ場合は、「支払日」を基準に考えてくださいね。

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