コーンスターチは滅多に使わないので買っていないけど、片栗粉は料理でよく使うから買っているという家庭は案外多いです。
その場合、たまにお菓子作りしようとレシピ集を見たら、材料にコーンスターチがあって困ったことはありませんか。
「コーンスターチはでんぷんだから、片栗粉だって同じでしょ?代わりに使ってもいいよね?」
と考えたくなりますが、代用しても大丈夫なケースと、そうでないケースがあるのです。
今回は、代用できるかどうか、2つの違い、から揚げ時に使う粉の選び方についてお話しします。
コーンスターチがなく片栗粉で代用できないケースとは?
コーンスターチも片栗粉も同じでんぷんです。
ただし、原料が異なります。
コーンスターチの原料はトウモロコシ、片栗粉の原料はジャガイモ。
(厳密に言うと、昔の片栗粉の原料は「カタクリ」というユリ科の植物の根茎でしたが、自生のカタクリが減ったことや明治時代に北海道の開拓でジャガイモが大量栽培されるようになったことから、ジャガイモで片栗粉を作るようになりました。)
コーンスターチと片栗粉は同じでんぷんですが、原材料の違いは性質にも表れているため、基本的には代用しない方が良いです。
最初に代用できない食べ物についてお話します。
1.片栗粉で代用できない食べ物
コーンスターチを片栗粉で代用できない料理、お菓子としては、
(1)でんぷんを煮て糊状にする
(2)冷やして食べる
この2つの条件があれば、避けた方が良いでしょう。
この理由として、片栗粉は冷めると粘りが減るという性質があるからです。
ですので、温かいまま食べる物は片栗粉でOKですが、冷たくして食べる物はコーンスターチを使う必要があります。
(あんかけを作った時はとろみがあっても、翌朝まで残しておくと、とろみが確実に減るのはこの性質が原因です。)
片栗粉で代用できない食べ物としては、カスタードクリームがあります。
カスタードクリームを作る場合は薄力粉を使うレシピが多いのですが、薄力粉には「ダマになりやすい」という欠点があります。
ですが、コーンスターチだとダマになりにくくて使いやすいという長所があるのです。
その他、冷やして食べるお菓子でコーンスターチを使ったプリンやブラマンジェも、片栗粉を使うのは避けましょう。
じゃあ、どんなお菓子なら片栗粉で代用できるの?と思いますよね。
代用できるお菓子はこちらです。
2.片栗粉で代用できるお菓子
・チーズケーキ
・スポンジケーキ
・クッキー等
焼き菓子系で少量しか使わないものなら基本的に大丈夫です。
(スポンジケーキやクッキーは小麦粉がメインでコーンスターチを少量から半分程度使うレシピが時々あります。)
焼き菓子で小麦粉の代わりにコーンスターチを使う理由は、生地の粘りを抑えて軽い仕上がりにする目的なので、片栗粉でも問題ありませんが、片栗粉の方が少々粉っぽく感じたり、多めに使うとジャガイモの味が残るという欠点はあります。
具体的に代用できるお菓子とできないお菓子について理解したところで、次にコーンスターチと片栗粉の違いについて「単純に代用できない理由」の視点でまとめましょう。
コーンスターチと片栗粉の性質の違いは?
(1)とろみの程度の違い
2つは同じでんぷんですが、同じ量のでんぷんに水分を加えて煮た場合、片栗粉の方がコーンスターチよりも約2倍の粘りが出ます。
ですので同量でカスタードクリームを作ると、片栗粉の方が約2倍粘りが出ます。
ちなみに小麦粉で同じように作ると、コーンスターチよりも粘りが少なくなります。
(2)食感の違い
2つを煮てみると、とろみだけでなく食感も違います。
片栗粉の場合は粘りがありモチッっとした食感ですが、コーンスターチはどちらかというと歯切れが良い食感です。
また、片栗粉のほうがコーンスターチよりも「粉っぽい」「香りがジャガイモっぽいクセ」があります。
コーンスターチの様々な用途
コーンスターチは案外様々な用途で使われています。
我が家では料理にとろみをつける場合に片栗粉を使うのですが、フランス料理や中華料理ではコーンスターチを使うようです。
これは、海外では片栗粉を入手しにくいのが理由かもしれません。
また、スーパーで販売されている「プリンの素」には凝固材としてコーンスターチが使われていることもあります。
また、家でもコーンスターチを使えば簡単に卵なしでもプリンが作れますし、クックパッドには沢山のレシピが掲載されています。
クックパッド コーンスターチを使ったプリンレシピ
そして、意外なものでは、麦芽100%でないビールや発泡酒にもコーンスターチが副原料として使われています。
原材料名の表記は「スターチ」と書かれていることもありますが、コーンスターチが使用されるケースが殆どです。
コーンスターチを片栗粉の代わりにから揚げに使える?
お菓子作りについてコーンスターチと片栗粉の使い分けが分かったところで、料理についても少し触れておきます。
片栗粉を使ってとろみをつける場合はどちらでも大丈夫ですが、から揚げなどはどうでしょうか。
この場合、どちらでも大丈夫です。また、薄力粉でも問題ありません。
ただ、食感が異なるので、好みの問題になります。
パリッと仕上げたい場合は片栗粉を使い、優しい口当たりにしたい場合はコーンスターチか小麦粉にします。
パリッとした仕上がりの順(下に行くほど優しい口当たり)
(1)片栗粉
(2)薄力粉
(3)コーンスターチ
コーンスターチと片栗粉を比較すると、コーンスターチのほうが粒子が細かいので、から揚げの衣を薄くつけたい場合はコーンスターチにします。
また、コーンスターチと片栗粉を1:4の割合で混ぜて使うと、粒の粗い片栗粉の隙間をコーンスターチが埋めてくれるのでサクッとした食感のから揚げに仕上がります。
ただ、一般的には1:1の割合で使う人が多いようですね。これはどれが正解という割合はなく、全て好みの問題ですので色々試してくださいね。
さいごに
コーンスターチは、日本の場合は片栗粉が入手しやすいため馴染みがない人も多いのですが、
2つを比べると性質が異なるので、特にお菓子作りを頻繁にする場合は1つ用意しておくと重宝しますよ。
(1袋200円程度で購入できます。)
ぜひ2つの性質を知って、使い分けてくださいね。
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