今年家族に不幸があった場合、翌年のお正月は喪中なので
「おめでとう」を言わないことや、年賀状を出さないことはご存知ですよね。
でも、それ以外にもやってはいけないことがあるのでしょうか。
今回は、通常だったら正月準備をすべき物事について
喪中でもやっていいのかどうかを調べてみました。
喪中と忌中の違いについて
そもそも喪中、忌中というのは何でしょうか。
近親者が亡くなった場合は一定の期間、死を悼み、身を慎みます。
これを「忌服(きふく)」、「服喪(ふくも)」などといいます。
喪・・・喪服を着ている期間
忌・・・自宅に謹慎している期間
「喪」は、儒教の考え方が根本にあります。
先祖を大事にして供養をするのが儒教の考え方であり、
実の親が亡くなった時は3年間喪に服するとされていました。
ですが、3年という期間が長すぎるので、江戸時代に亡くなった月を含む13ヶ月が喪中とされ、
明治時代には更に短く、続柄により細かく法令が定められました。
【例】
父母の場合・・・忌日50日、服喪日数13ヶ月
夫の場合 ・・・忌日50日、服喪日数13ヶ月
妻の場合 ・・・忌日20日、服喪日数90日
現在ではこの法令は撤廃されています(昭和22年廃止)。
ですが、仏事についてはこれが一つの目安にされていて、
父母が亡くなった場合は49日までが忌中、一周忌までが喪中とされることが多いです。
そして、服喪期間は慶事を控えるというのが習わしなので、しめ縄などの飾りはしません。
喪中と忌中 神社神道や浄土真宗などは別の考え方
神社神道は儒教の考え方と異なるので、喪の扱いも異なります。
神社神道の場合、実の親が亡くなってから50日を忌服期間としています(仏教では49日)。
また、「死は穢れ」とされているので、この期間は神社へのお参りや祭りは控えましょう。
よく「鳥居をくぐってはいけない」と言いますが、鳥居をくぐらなければ入っても良いというのでなく、
神様の領域に入る行為そのものが駄目ということです。
実の親が亡くなってから50日以上経過していれば神社のお参りは大丈夫です。
また、仏教の場合でも、浄土真宗には「忌」という概念がないので、その門徒であれば喪に服することも忌服することもありません。また、喪中葉書も出しません。
喪中の年末年始の過ごし方 やっていいこと悪いことは?
特に忌中は故人の冥福を祈り、行動を慎むこととされています。
具体的には次のようになります。
(1)お飾り(神棚のしめ縄、玄関飾り、門松、鏡餅)・・・×
正月飾りは晴れがましいことですので、一般的には慎むこととされています。
ただ、鏡餅については忌中は避けたほうが良いのですが、
忌中明けの喪中だったら、飾っても良いようです。
これは、鏡餅は福を与えてくれる神様へのお供えなので、
福が来るようにと願いを込めるものであるからです。
(2)食べ物(年越しそば、お節料理)・・・年越しそば○、お節料理(忌中)×
・年越しそばは、細く長いことから長寿を願う意味や
1年間の厄を切り捨てるという意味ですので、
喪中でも問題ありません。
・おせち料理はお祝いの料理なので忌中は避けます。
また、喪中の間も避けるほうが良いとされていますが、
家庭内のことなので、重箱を避けたり、
めでたいものを意味する鯛や海老などを避けたり、
紅白のかまぼこでなく、白だけにすれば良いのでは、
という考え方もあるようです。
・お雑煮も同様で、お祝い料理でなく、
普段の料理として食べる分には問題ないでしょう。
(3)新年の挨拶・・・×
こちらから「おめでとう」は言いませんので、
相手におめでとうと言われたら、
「おはようございます」「こんにちは」
などのような、通常の挨拶で返せばいいと思います。
(4)お年玉・・・△
本来なら控えるものですが、子供達の楽しみですからあげたほうがいいですよね。
ですので、袋に「お年玉」としないで「書籍代」「文房具代」などと表書きして、
通常の正月との違いを理解してもらってから手渡ししましょう。
(5)初詣・・・神社は×、仏閣は○
神社は「死は穢れ」と考えるため忌中は避けましょう。
一般的には忌中明け(50日)になれば大丈夫です。
ただし、神社によって異なると思うので念のため初詣する神社に問い合わせた方が良いでしょう。
ちなみに、日本一初詣人数を誇る明治神宮は、50日を過ぎれば大丈夫という考え方でした。
まとめ
基本的な考え方としては、
・お祝いを意味することでなければ大丈夫
・忌中明けの喪中期間なら大丈夫
という物事が多いのですが、
住んでいる地域や親戚の考え方もあるでしょうし、
しきたりに煩い親戚がいるのであれば、先にその方に家の慣習を聞いたほうが
後々のトラブル回避ができると思います。
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