洗濯機を買おうと思って家電量販店で洗濯機を色々見ていると、同じサイズでも値段がピンキリで、高い物だと安い機種の約2倍なんてものもあります。これは何故でしょうか。
実はコレ、「インバーターの有無」による違いなのです。
では、インバーターとは何でしょうか。
どのような仕組みなのでしょうか。
今回は、インバーター洗濯機のメリットやデメリットを含めた基礎知識についてまとめました。
洗濯機のインバーターとは?
インバーターは、「モーターの回転数や速度をコントロールする装置」のことです。
洗濯機では、洗濯槽が回転する仕組みの部分にモーターが使われています。
でも、通常のコンセント電源から出てくる電流は、ほぼ一定なので、そのままだとずっと同じ速さでしか回転できません。そうすると、洗剤の入った水が回転するだけで汚れ落としを期待するしかありません。
でも洗濯って、単にぐるぐる洗濯槽を回転させるだけよりも、手洗いで「押し洗い」「揉み洗い」等をするように、洗濯の手順に応じた動きの使い分けをする方が、汚れ落とし効果を高めることが出来るのです。
これらを可能にしたのがインバータータイプの洗濯機です。インバーターの特性である、モーターの回転数や速度を変化させる機能を洗濯機に付けることにより、汚れ落とし効果がアップしました。
ちなみに、ノンインバーターの場合は回転数を細かく制御できないため、低速回転したくても力が弱いし、高速回転させる際には急加速することになります。そのため、特に重量のある洗濯物を優しく洗うのが苦手です。その点、インバーターはモーターを自在に制御できるため、徐々にスピードの変化をさせて、洗濯物に優しくキレイに仕上げることが可能です。
では次に、インバーターの仕組みについて簡単にお話しします。
インバーター洗濯機の仕組み
インバーターを知る上で大切なのが、電気の仕組みです。
私達が日常使っている電気には、直流と交流の2種類があります。この2つは以下のように電流の流れ方が異なります。
- 直流・・・プラス極とマイナス極があり、いつも向きと電圧が一定の電流です。乾電池やバッテリーなどが該当します。
- 交流・・・周期的に向きが変化する電流で、プラス極とマイナス極を気にせずに使えます。コンセントの100v電源がこれに該当します。
洗濯機で使う電気はコンセントにきている「交流」ですが、これは、何もしない状態だと電圧や周波数を変えることができません。でも、インバーターを利用することで簡単に電圧と周波数を変えることや、細かい調節が可能になるのです。
なお、電圧と周波数を変えるインバーターの仕組みとしては、
(1)交流から直流に変換し、(2)それを再度交流に戻す
という作業を行うこととなります。
ちなみに、(1)の交流から直流に変換する装置を「コンバーター回路」、(2)の直流から交流に変換する装置を「インバーター回路」と言います。
※インバーターは洗濯機以外にもエアコンや冷蔵庫、照明器具など様々な電化製品に使われています。インバーターがあるとON・OFFの切り替えだけでなく、温度変更や明るさ変更などの細かい調節が出来るのです。
また、家電以外だけでなく、新幹線やエレベーター等にも使われています。今やインバーターは生活に欠かせないものとなっているのです。
洗濯機でインバーターのメリットは?
インバーターは既にお話ししたように、必要に応じてモーターの回転数をコントロールできることから様々なメリットがあります。具体的には、以下のような長所があります。
- 静音(運転音がとても静か※。深夜早朝でも近所迷惑にならなくて済む。)
- 節水(インバーターとノンインバーターで同じ大きさの場合、1回あたり約15~20Lの差が生じます)
- 節電
- パワーがある
- 汚れ落ち効果が高い(水流の強弱を作ったり、洗濯槽内の工夫が多い)
メーカーによっては、以下のような機能もついています。
- 洗濯槽裏の自動洗浄機能により洗濯槽裏のカビ予防ができる(洗濯槽を洗う頻度が少なくて済む)
- 洗濯した後に、絡んだ洗濯物をほぐす機能がある(洗濯物が取り出しやすい)
※モーターの仕組みはメーカーにより様々ですが、基本的にノンインバーターの場合はモーターと洗濯槽が直結しておらず、ベルト等で繋ぐことで回転させています。そのため、摩擦音が大きいし、揺れも大きく出やすいです。その点、インバーターはモーターと洗濯槽が直接繋がっているためとても静かなのです。
洗濯機でインバーターのデリットは?
インバーター洗濯機のデメリットとしては、高額なことですね。ですから、多くの人が最初に「インバーターって必要なの?」と疑ってかかるはずですし、それだけお金をかけても買った方が得なのだろうか、と躊躇するはずです。
インバーター洗濯機は節水や節電効果が高いので、購入費用がかかっても長い目で見れば得だと思うかもしれません。でも、実際のデータを比較してみると、元が取れるかどうかは難しいかもしれません。
具体例として、東芝の縦型全自動洗濯機の1回の洗濯にかかるコストを挙げます。
【インバーター7kg(AW-7D8)の場合】
電気代:2.1円(消費電力量:約79Wh)
水道代:24.7円(標準使用水量:約98L)
洗剤代:12.1円
【ノンインバーター(AW-7G8)の場合】
電気代:3.4円(消費電力量:50hzの場合約110Wh、60hzの場合約125Wh)
水道代:28.5円(標準使用水量:約113L)
洗剤代:11.5円
水の使用量としては1回につき15L程度の差があるのですが、料金としては数円しか差がありません。電気代に至っては1.3円ですし。この数字を見る限りでは、洗濯機の寿命と言われる7年間で、インバーターとノンインバーターの購入価格の差額分を回収できるかといったら、結構厳しい気がしますよね。
なので、金額面だけで比較してしまうとノンインバーターで十分ではないかという考えの人も少なくありません。1人暮らしで品質を求めなければノンインバーターで十分でしょう。
ただ、家族の人数が多い場合や洗濯物が多い場合には、品質を求めざるを得ない状況ということも考えられるため、インバーターを検討することも必要になるかもしれません。
さいごに
インバーター洗濯機はかなり高額ですが、様々な長所があるため、ご自身の状況や必要性をよく考えて選んでくださいね。
ちなみに、インバーター洗濯機がおすすめなケースとして次のようなケースがあります。
・深夜早朝に洗濯機を使う必要がある場合(静音性が高いので安心して使える)
・汚れの落ち具合が気になる場合(水流の強弱、方向等の動きの変化をつけられるので汚れがよく落ちる)
・洗濯物の臭いが気になる場合(洗濯槽裏の汚れがつきにくい。ただしメーカーによる。)
節電、節水などに関心がある場合は、「高い分、何年も使い倒して元を取れば良いわ」という考えでなければインバーターでも良いのですが、最終的に元が取れるかどうかは難しいので、金額面だけで考えるのであればノンインバーターの方が良いでしょう。
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