アイスクリームを食べるつもりで買ったけど、カップの表示が
「アイスミルク」や「ラクトアイス」となっていることは案外多いです。
この3つの違いをご存知ですか。
今回は、これらの違いや、ソフトクリームやジェラートとの違いをお話しします。
アイスクリーム アイスミルク ラクトアイスの違いは?
アイス類の原料となる牛乳は、87.4%の水分と12.6%の乳固形分から出来ています。
この乳固形分は、ビタミンやミネラルなどの栄養素である無脂肪固形分が8.8%と
脂肪である乳脂肪分が3.8%が合わさったものです。
■牛乳の成分である乳固形分や乳脂肪分についてはこちらの記事をご確認ください。
→生乳と牛乳の違いは?成分調整と無調整 乳脂肪分と無脂乳固形分は?
そして、アイス類の名前は厚生労働省の規定で、乳固形分の割合によって次の4種類が区分されています。
(1)アイスクリーム・・・乳固形分15%以上(そのうち乳脂肪分8%以上)
牛乳の乳固形分は12.6%でアイスクリームの定義は15%以上ということから、
生クリームと牛乳を混ぜて作ることが多いです。
アイスクリームメーカーでは、その他濃縮乳を使用するなどの工夫をして
乳脂肪を調整して作っています。
(2)アイスミルク・・・乳固形分10%以上(そのうち乳脂肪分3%以上)
アイスミルクという名前のとおり牛乳をまろやかに凍らせたような風味です。
牛乳の成分である12.6%の乳固形分(うち乳脂肪分が3.8%)と数値が近いです。
(3)ラクトアイス・・・乳固形分3%以上(乳脂肪分の規定はありません)
ラクトアイスの「ラクト」は「乳」を意味するラテン語です。
乳固形分がアイスミルクより少ないので、アイスクリームの風味を出すために
植物系油脂や乳化剤、安定剤などの添加物を混ぜて脂肪分を補うことが多いです。
その結果、アイスクリームやアイスミルクよりも高カロリーになり、
太りやすいといわれています。
【乳化剤について】
通常は水と油を混ぜると分離しまいますが、これを均一に分散させて安定化させることを「乳化」といいます。
乳化剤は、水にも油にも馴染みやすく、アイスにおける乳化剤は均一にして安定させ、泡立ちをきめ細やかにして、食感を滑らかにする働きがあります。
具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどがあります。
乳化剤の添加率は0.1%~0.3%程度のものが多いです。
【安定剤】
安定剤は、アイスを滑らかにして貯蔵中に組織が変化しないように抑える働きがあります。
原材料は植物の種実や樹液、海藻などの天然物から抽出したもので、安定剤をいくつか組み合わせて使用することが多いです。
具体的には、グァーガム、寒天、ペクチン、ゼラチン、カゼインなどがあります。
安定剤の添加率は0.1%~0.3%程度のものが多いです。
(4)氷菓・・・乳固形分3%未満
(1)~(3)に当てはまらない、乳固形分が3%未満については氷菓(ひょうか)という区分になります。
アイスクリームとソフトクリームとジェラートの違い
ソフトクリームやジェラートについては、
ラクトアイスやアイスミルク、氷菓のように厚生労働省における規定はなく、
工程上の名称であったり、外国で作られたことから入った言葉です。
(1)アイスクリーム
牛乳などを原料にして、冷やしながら混ぜてクリーム状にして凍らせたお菓子です。
(2)ソフトクリーム
ソフトクリームは主原料が牛乳等の柔らかいアイスクリームです。
ソフトクリームには、アイスクリームのような厚生労働省が定めた規定はなく、工程上での名称となっています。
アイスクリームの工程は、
フリージング→充てん→包装→-30度以下で凍結→出荷
となりますが、ソフトクリームは、この工程中で最初のフリージング直後の状態を指します。
また、実際に使われている原料はメーカーにより乳固形分等の割合が異なり、
厚生労働省の種類別ではアイスクリームやラクトアイスもありますが、アイスミルクの区分が多いです。
(3)ジェラート
ジェラートという言葉はイタリア語で「凍った」を意味し、凍った氷菓を指します。
凍らせるものは 果汁や果肉、牛乳、砂糖、コーヒー、香草などです。
アイスクリームよりも空気含有量が35%未満と少なく密度が濃いため、味が濃厚なのが特徴です。
日本の厚生労働省の規定では、ジェラートはアイスミルクと分類されており、
乳脂肪分は4~8%なので比較的低カロリーです。
フルーツ系のジェラートの作り方には、
(1)果汁・水・砂糖・安定剤・卵白を混ぜて空気を含ませながら凍らせる方法
(2)上記で水を入れない方法
という2つのパターンがあります。
(4)シャーベット
シャーベットは氷菓(ひょうか)のことです。
果汁にシロップ等の糖類を混ぜて凍らせた物で、リキュールを加えることもあります。
英語ではsherbetと書きますが、ニュージーランド、オーストラリアでは
「はじけるキャンディー」を意味することもあります。(シャーバートという読み方。)
ちなみに、ソルベもシャーベットと同じ氷菓のことです。
シャーベットが英語なのに対して、ソルベはフランス語(sorbet)という違いです。
【乳化剤や安定剤が入るアイスクリームもある】
ラクトアイスには乳化剤や安定剤が入るけどアイスクリームには入らない、と思うかもしれませんが、商品によっては入っているものもあります。
それは、こちらの商品です。
このレディボーデンのアイスにはラクトアイスと同じような材料が入っています。
(「(1)アイスクリーム」の定義で掲載したハーゲンダッツには乳化剤や安定剤が入っていません。)
この理由としては、レディボーデンは卵アレルギーに対応しており、卵が除外されているからです。(ただし、牛乳アレルギーは不可。)
私の子供の小学校でもロッテの学校給食用アイスが年に1、2回出ているので原料を比較したところ、レディボーデンと同じでした。
卵を除外する場合は、乳化剤や安定剤を入れないとアイスクリームの滑らかな食感を出せないのですね。
さいごに
アイスクリームとアイスミルク、ラクトアイスの違いは
乳固形分と乳脂肪分の割合によって種類別されており、
乳脂肪分が多いほど値段も高くなります。
それに対して、カロリーの点では、
ラクトアイスには乳化剤などの植物性油脂が多く含まれているため、
ラクトアイスの方が高いことが多いです。
アイスクリームとラクトアイスでは、どちらが体に良いか悪いかというよりも、
好みの問題であり、どちらにせよ食べ過ぎないようにすれば良いだけです。
食べる際に乳固形分の量が多いか少ないかを意識してみると、
さっぱり系のアイスか、コクのあるアイスか、など種類別の味を楽しめるので
ぜひ、意識して食べ比べてくださいね。
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