ヒメマルカツオブシムシという虫をご存知ですか。
実はこの虫、テントウムシの小さい生き物という感じなのですが、幼虫が衣類害虫として知られている、大事な洋服に穴を開けてしまう恐ろしい虫なのです。
我が家では、今の家に引越してからこの虫に悩まされており、様々な駆除方法を試してきました。
今回は、バルサンや他の殺虫剤の効き目や、ベッドについた場合の駆除方法や、ヒメマルカツオブシムシの生態についてお話しします。
ヒメマルカツオブシムシ駆除でバルサンの効果は?
ヒメマルカツオブシムシは3月から8月頃、特に5~7月に多く出てきます。
幼虫は全体が短い毛で覆われていて約4.5mmの大きさです。
成虫は全体が黒く、白、黄色、茶褐色の模様があり約2.5mmの大きさです。
ヒメマルカツオブシムシの名前は、カツオブシのような乾燥食品に多く発生することから名付けられました。マルカツオブシムシ属という属名になっており、その前についている「ヒメ」は「小さい」という意味です。
ヒメマルカツオブシムシは衣類害虫という位置づけですが、衣類を食べて穴を開けるのは幼虫だけです。食べる対象物の主な物は次の通りです。
- 乾燥食品系→鰹節や穀類、種子類、粉ミルク等
- 食品以外 →羊毛や絹などの衣類、毛皮、毛髪、昆虫標本、ドライフラワー、新建材(コウリャンボード)※等
※新建材(コウリャンボード)は床材や天井板、家具などにも使われています。そのためこれらの箇所に発生する可能性もあります。
さて、ヒメマルカツオブシムシの駆除方法ですが、次のような方法が一般的です。
- タンス内→防虫剤・防虫シート
- 場所が特定できる場合→殺虫剤
- 場所が特定できない場合→バルサン、キンチョウリキッド、電撃殺虫器
タンス内
防虫剤は衣類に発見した場合に使いますし、予防としても効果があります。市販の防虫剤にはいくつかありますが、プロフルトリンを使っているミセスロイド無臭タイプがおすすめです。(ただし、ミセスロイドはタンスのような狭い空間で効果を発揮するタイプで、部屋など広い空間に使っても効果がありません。)
猫などペットを飼っている場合や天然系が好みの人には下記の商品もあります。ローズマリー等から抽出されるテルピネオールという天然成分による虫除け油で、ヒメマルカツオブシムシの卵の孵化を抑制する作用があります。
場所が特定できる場合
殺虫剤は場所が特定している場合はこれが確実で、直接スプレーして仕留めます。幼虫は衣類にいることが多いのですが、洗える物ならキンチョール等でも構いませんが、洗えない物や薬剤が気になる場合は天然除虫菊スプレーがおすすめです。
- 衣服にいる幼虫→天然除虫菊スプレー
- 成虫→キンチョール等
ただ、これらは狭い範囲でヒメマルカツオブシムシの場所を限定できる場合に威力があるのですが、広範囲の駆除には向きません。
場所が特定できない場合
バルサンは場所が特定できない場合に使う駆除剤の1つですが、完全駆除は難しいです。
飛び回る虫(ハエ、ゴキブリ、蚊など)に対しては効果が高いのですが、卵や蛹の場合に効果がありませんし、引き出しの中など衣類に潜む幼虫にも効果が薄いです。ですから、衣類のどこにいるか分からない場合は防虫剤をタンスの中に置く方が効果が高いです。
キンチョウリキッドは液体電子蚊取器ですが成分がピレスロイド系(メルフルトリン)なので、ヒメマルカツオブシムシの駆除にも有効です。
電撃殺虫器は成虫で羽化後2週間程度過ぎた後に光へ行く習性が強くなるため、その段階では効果的です。ただ、その前(羽化後2週間)は食事も摂らず暗い場所に隠れているため、殺虫器の効果は薄い可能性があります。
ヒメマルカツオブシムシ駆除でベッドはどうする?
布団やベッドなど、殺虫剤等を使えない場所については次の方法があります。
- 殺虫剤(天然除虫菊スプレー)
- アロマ(ペパーミント系)を焚く
- スチームクリーナーやスチームアイロンのスチーム熱を利用する
殺虫剤については上でお話ししたように、ベッドや敷布団のような洗えない箇所についてはキンチョール等のような化学成分でなく、天然除虫菊スプレーがおすすめです。
また、アロマの中ではペパーミント系、L-メントールは効果があります。
スチームクリーナーやスチームアイロンのような熱による殺虫は、殺虫剤と異なり安全性が高く、幼虫や成虫だけでなく卵や蛹にも効果があり、多くの虫は65度以上で即死します。
ちなみに、スチーム吹出口の温度は約80~100度です。絨毯や畳の場合は表面が焦げないよう注意しながら1か所につき約5秒当てて移動させます。
ヒメマルカツオブシムシ駆除には幼虫の生態を知るのが大切
ヒメマルカツオブシムシの駆除は案外手間がかかります。
というのも、幼虫は狭くて暗い所や風通しの悪い場所を好むので見つけにくいからです。
また、羊毛等のたんぱく質を分解して食べてしまうのですが、化学繊維であっても汗や飲食物をこぼしたシミにたんぱく質が付着している場合は、その部分も食べて穴を開けることもあります。
その生態については、温度にも左右されますが、だいたい次のようなライフサイクルになっています。
- 卵期→10~30日
- 幼虫期→約300日(温度により600日以上もあり得る)
- 蛹期→7~19日
- 成虫→寿命約1ヶ月間。その間の産卵は20~100個で、衣類には数粒から数十粒の卵を産み付ける)
特に目立った特徴として、次のことがあります。
- 衣類害虫である幼虫期が最も期間が長い。
- 幼虫の成熟段階では半年から1年もの間絶食しても死なない。
- 幼虫で大きくなったら殺虫剤に強いため、なかなか死なない(早期発見、早期駆除すべし!)
- 成虫は羽化後1週間から10日間は蛹殻に留まる。
- 成虫は羽化後2週間経過すると、それまで嫌っていた光を好むようになり晴れて暖かい日に屋外へ出る。
- 成虫は衣類を食べず、デイジーやマーガレット等の花を探して蜜を吸う。
- 成虫は白、黄色等明るい色を好む
ただ、成虫は無害かというとそうでなく、折角外に出ていってくれたのに再度屋内に侵入して卵を産みつけます。産み付けられた卵から孵った幼虫が衣類を食い荒らすため、退治しておかないと大変なことになります。
また、幼虫は1年近く絶食しても生きていられるため、折角ヒメマルカツオブシムシの好物を置かないようにしても生きて成長して羽化する可能性が高いのです。ですから、ヒメマルカツオブシムシを駆除した後はしっかり予防することが大切です。普段の予防方法としては次のことがあります。
ヒメマルカツオブシムシの予防対策
- 徹底的な掃除(カーペット、畳の隙間、クローゼットや押し入れの隅、ベッドの下、ソファの下、タンスの裏、本棚の裏、ペットフード、ドライフラワーなどにいる可能性もあります。)
- 一度着た洋服は直ぐに洗濯する。
- 洋服は長期間タンスや収納ボックスにしまいっぱなしにせず、晴れた日に陰干しして風に当てる。
- タンスや収納ボックスに衣服を詰め込み過ぎず、通気良くすること。防虫剤を入れる。
- 屋外に干していた白い洗濯物を取り込む際に付いていないか注意する。
まとめ
ヒメマルカツオブシムシは小さい割りに食べなくても生き続けるし、成長した幼虫だと殺虫剤が効きづらく生命力が強い虫なので、一度駆除したから安心ではなく、隠れている可能性もありますし、用心した方が良いでしょう。
■虫関連の記事目次はこちら。
→虫に対する恐怖や困り事はこちらで解消!~虫関連のまとめ
コメント