夏休みの自由研究にガムとチョコの実験をやってみたいと考える人は多いのですが、いざ実験してみようと思っても、どうやったら出来るのか、それだけだとレポートの量が物足りないのではないか、等と悩むものです。
今回は、ガムがチョコレートに何故溶けるのか、また、チョコレート以外にどんな物に溶けるのか、食材についても実験して、中学生の自由研究レポートとして満足できるボリュームになるよう、やり方などを分かりやすくまとめました。
夏休み自由研究でガムの秘密についてやるには?
自由研究でガムの秘密についてやりたいと考える人の殆どが、
「ガムを噛みながらチョコレート食べてみたらガムが溶けてしまった」
ということを人に聞いて衝撃を受けたことが発端でしょう。
このような、身近な物事に疑問を抱いて考えてみるというのはとても良いことです。とはいえ、ココから先、夏休みの自由研究に結びつけるのは結構大変だと感じますよね。
そこで、手順を追って考えてみましょう。
(1)何を明らかにしたいか =「研究の動機と目的」
(2)そのために何をすべきか=「実験方法」
(3)実験 =「実験経過」
(4)実験の結果分かったことは何か=「考察・まとめ」
最終的にレポート形式で提出するのですが、この形式の順序に考えていくとやりやすいですよ。「何を明らかにしたいのか」「何を書きたいか」を中心に考えていきましょう。
(1)何を明らかにしたいか
ここでは、ガムとチョコレートを同時に口に入れて食べるとガムが溶けるのは何故か、を明らかにしたいのですよね。
(2)そのために何をすべきか
そうすると、何をすべきでしょうか。このガムの現象に対して次のような疑問が浮かびませんか?
・溶けるためには口の中でなければならないの?(口の中の熱=体温が必要?唾液が必要?)
・溶ける食材はチョコレートでなければならないの?(他の食材だとどうなるの?油、水?油の場合で植物油と動物油どちらもOKか?等)
ということで実験していくのですが、ガムにも色々な種類があるしチョコにも色々な種類があるので、いくつか食べ合わせて溶けていく様子を観察するのも良いでしょう。また、種類によって成分も違うため、パッケージの成分をノートに記録するか、パッケージごとノートに貼付しておくと良いでしょう。
自由研究でガムとチョコの実験を充実させるためには?
ガムとチョコなんて、身近すぎてレベルが低いのでは!?
と悩むかもしれませんが、テーマに高い低いはありません。中学生レベルにするには?と悩むでしょうけど、小学生だろうと中学生だろうと、自分が感じる疑問を解明しようとする過程が大切なのですから。
そして、自由研究は「自由な研究」ですから、自分なりに探求して突き詰め、自分自身で答えを出すことが大切です。
さて、ガムとチョコの実験を充実させるためには、理科の実験の基本である、
調べること以外の条件を揃えて実験すること。
これを理解して実験計画を立てます。
上記のような、口で噛んでみるというのも1つの実験ではあるのですが、もう少し実験チックにするには、口の中だと実際の現象が見えないので、目に見えるような状態でガムとチョコレートなどを混ぜてどうなるか、を行ってみます。
板状のガムを用意します。これが揃えるべき条件ではあるのですが、板状のガムは硬くて室温では溶けないしチョコを混ぜても反応しにくいです。そのため、板状のガムを出来るだけ細かくちぎって、更にすり潰すことが大切です。
すり潰すのはプラスチックのコップ等に入れて割り箸の太い側で行うのですが、それでもすり潰しにくい場合はガムを少し手のひら等で温めてから作業しましょう。
ガムが溶ける食材について自由研究でまとめよう
チョコでないと溶けないのか?という疑問から、チョコ以外の食材でどうなるかを実験しましょう。チョコ以外の食材としては、次のようなものがおすすめです。(カッコ内は使う量の目安です。)
・サラダ油(小さじ1)
・マヨネーズ(小さじ1)
・ポテトチップス(1枚)
・えびせん(2本)※
・水(小さじ1)
・砂糖(小さじ1)
・牛脂(小さじ1)
このような食材を入手してから行いましょう。
ちなみに、板ガムは溶かす食材ごとに2分の1枚使います。
※えびせんの他に、クッキーやビスケット等でも良いでしょう。
ところで、これらの多くの食材をどう実験するかというと、卵を購入する時に入っているプラスチック容器を使うのが便利です。
ただ、チョコレートと牛脂は室温だと固体なので、そのままの状態ではすり潰したガムと合わせても反応しにくいです。そのため、温めてからガムと合わせます(チョコレート→湯せん、牛脂→電子レンジ)。ただ、合わせてからも室温が低い場合など固まってくる場合は湯せんが必要になります。
さて、これらの食材に混ぜるとどうなるかというと、
【実験結果】
サラダ油 →ガムがほぼ溶ける。
チョコレート →ガムが溶ける。粒が少し残る。溶けた後の物質はネバネバしている。
マヨネーズ →ガムが溶ける。粒が少し残る。溶けた後の物質がネバネバしている。
えびせん →ガムが小さい粒に分かれる。残ったガムの量はチョコと同じくらい。
ポテトチップス→ガムが小さい粒に分かれる。えびせんよりも残る粒の数が多い。
水 →全然溶けない
砂糖 →水だけ使うよりもガムが柔らかくなる。分離して小さくなった
牛脂 →ガムが溶ける。粒が少し残る。ガムが小さく残った。
【考察・まとめ】
ガムの量が減る順は、以下のようになります。
(1)サラダ油
(2)チョコレート、マヨネーズ、牛脂
(3)えびせん
(4)ポテトチップス
(5)砂糖
(6)水
ガムは、油脂を含んだ食材だと溶けます。また、油脂が多くなればなるほど溶けやすくなります。
このようになるでしょう。ただ、この書き方は一例ですし、ガムの種類や室温などの諸条件によって若干異なる可能性もあります。これを丸写しにするのでなく、ご自身できちんと実験して、その結果をレポートに書くようにして下さいね。)
自由研究を中学生らしく高度な内容にするには?
中学生らしく高度な内容にしたい、と考えるなら、
なぜ油脂がある食材だと溶けるのか?
ということを突き詰めるためにも、ガムの原料の秘密について調べて書くのが良いでしょう。
ここで、ガムの原料について少しお話ししますね。
ガムの原料について
ガムは、天然ゴムまたは合成ゴムの一種を使って作られています。(天然ゴムよりも合成ゴムの方がよく使われています。)
天然ゴム→「チクル」という木の樹液
合成ゴム→酢酸ビニル樹脂
弾力性があるのは、ポリイソブチレン等が含まれているからです。また、甘みや匂いを良くするために、糖類や香料も含まれます。
そして、油脂がある食材でなぜガムが溶けるかというと、原材料の「チクル」や酢酸ビニル樹脂などの「ゴム」は全て油に溶ける性質があるからです。
ちなみに、唾液には溶けません。チョコレートはカカオの実から作りますが、常温で板チョコが固まっているのは、カカオバター(カカオの脂肪分)が約27度まで固体だからです。チョコがガムに溶けるのは、先ずチョコが口の中の熱で溶けて、次にカカオバターとガムが混ざります。その結果、油に溶ける性質のゴムがカカオバターに溶けるのです。
さいごに
ガムをチョコレートと一緒に食べると口の中で溶けるから一緒に食べてはいけない、というのは根拠も含めて分かりましたよね。
じゃあ、他に何に役に立つの?
と、折角ここまで研究したのだから何かしら書きたくなる人もいるでしょう。
この場合、大したことではありませんが、この性質を利用して、髪の毛等にガムがついてしまった場合に油脂を含んだ物なら簡単に取れる、というのがあります。
ガムは水には溶けないので、手でしっかり洗っても思うように取れないはずです。でも、油脂を含んだ整髪料等をつけることで取りやすくなるので、もしものときは試してみてくださいね。
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