夏休みの自由研究でゼラチンの秘密に迫る!パイナップルとキウイ実験

勉強

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夏休みの自由研究は身近な疑問を題材にするとやりやすいですよね。
ゼラチンを使ったゼリーを思い浮かべる人も多いでしょう。
そして思い出すのが、

生パイナップルをゼラチンで固めようとすると上手く固まらないけど、
缶詰パイナップルはゼラチンで固まる。

という話ですよね。

今回は、パイナップルやキウイを使って、ゼラチンが固まるかどうか、自由研究でやりやすいよう実験方法や考察について、後で皆さんがレポートにしやすいよう、要点をまとめてお話しします。

■ゼラチンと寒天の違いに関する実験はこちらの記事をご覧ください。
ゼラチンと寒天の違いを自由研究でやるには?パイナップルによる実験

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夏休みの自由研究でゼラチンの秘密に迫ろう!

夏休みの自由研究でゼラチンというのは結構幅広いネタがあるのですが、パイナップルゼリーを作るというのは基本中の基本でとてもやりやすいです。

最初に種明かしをしてしまうと、

ゼラチンの主成分は牛や豚などの骨や皮、つまりタンパク質で構成されています。
一方、パイナップルにはタンパク質を分解する酵素が含まれており、2つを混ぜるとパイナップルの酵素がゼラチンのタンパク質を分解してしまうため、ゼラチン本来の固まる力も失われてしまうのです。

そのため、生のパイナップルの場合はゼラチンが固まりません。
ですが、缶詰のパイナップルだとゼラチンは固まります。

・・・という流れになります。

なぜだろう?と思うでしょうけど、これは缶詰に秘密があるのです。

缶詰の場合、生のパイナップルを加熱処理してから詰めるのですが、酵素は熱に弱く、缶詰にする段階でパイナップルの酵素の力が失われてしまうのです。ですから、缶詰パイナップルはタンパク質を分解することができない、つまり、ゼラチンが固まる、ということになるのですよね。

ところで、酵素って何かご存知ですか。

酵素というのは生物の体内で作られる物質です。
呼吸や消化など、生命活動に必要な化学反応を速くする作用があります。

ただ、この後の実験において注意しなければならないことが1つあるのですが、酵素というのは生パイナップルなら全て同じような強さで働くのか、というと、そうではないということです。温度やphの状態などによる影響を受けやすいため、タンパク質を分解する作用が強い場合、弱い場合など様々な可能性があるということです。

ちなみに、酵素を多く含む食物として代表的なのがパイナップルですが、それ以外にもキウイ、パパイヤ、メロンなどのような果実もあります。そして、パパイヤについては、黄色が完熟状態、青色が未熟状態なのですが、青パパイヤであるほど酵素が多く、完熟の黄色になると少ししか含まれません。

ですから、このようなことを理解した上で実験を行わないと、予想と違った結果が出てきてビックリするかもしれません。もし固まらないと思っていたのに固まってしまった場合は、果実の場合は完熟か未熟かなどの状態によっても酵素の量が異なる可能性があるので、それを含めて考えてレポートにしましょう。

では、ゼラチンの実験を始めましょう。


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ゼラチンとパイナップルの自由研究実験方法は?

実験1:生と缶詰パイナップルの違いをゼリー作りで確かめよう

【用意する物】
・粉ゼラチン 30g(5g×6袋)
・熱湯 270ml(1.5カップ)
・ボウル 1個
・プラスチック容器 9個
・パイナップル(生)
・パイナップル(缶詰)

【手順】
(1)ボウルに熱湯を入れてからゼラチンを全て入れて混ぜて溶かします。
(2)ゼリー液を9個のプラスチック容器に入れます。(大さじ2ずつ入れると9個の容器にちょうどピッタリになるはずです。)

9個のうち、7個は次の実験に使うので冷蔵庫で約3時間冷やし固めます。
この実験では、残りの2個を使います。

(3)パイナップルの生と缶詰をそれぞれ1cm角に切って10個ずつ(2)のゼリー液に入れて約2時間冷やします。

【実験の結果】
缶詰パイナップルは固まるけど、生パイナップルは固まらないという結果になるでしょう。

実験2:生パイナップルの温度でゼラチンを分解する力は変わるの?

【用意する物】
・実験1で固めたゼリー 3個
・パイナップル(生)
・おろし器
・布巾(またはキッチンペーパー)

【手順】
(1)パイナップルをおろし器で摩り下ろして、布巾かキッチンペーパー等で漉して搾り、パイナップル果汁を75ml以上※になるよう用意します。

(2)この実験ではパイナップル果汁を大さじ1ずつ温度を変えてゼリーと合わせるため、果汁を次の3つに分けます。
ⅰ)室温に1時間放置したもの
ⅱ)80度以上にレンジ加熱して、1時間冷ましたもの
ⅲ)冷凍庫で1時間冷やして、少し解凍したもの

※実際に使う量は各大さじ1×3種類なので合計45mlですが、レンジ加熱したりすると蒸発したり、状況によっては吹きこぼれて減ってしまう可能性もあるので、果汁は大さじ3程度を用意してレンジ加熱するほうが良いでしょう。

(3)実験1で固めたゼリー3個の重さをはかり※※、(2)の3種類の果汁を大さじ1ずつ入れて約3時間室温で放置します。

(4)容器内の液体を静かに捨てて、残ったゼラチンの重さをはかります※※。

※※量る重さは、プラスチック容器とゼリーの合計になります。

【実験の結果】
室温や冷凍庫で冷やしたものは重さが減り、レンジ加熱したものは減らないという結果になるでしょう。
(最終的な結論は次の実験3にも関係してくるのでここでは保留にします。)

ゼラチンとキウイその他の自由研究方法は?

実験3:ゼラチンはキウイや他の食べ物でも分解できるの?

【用意する物】
・実験1で固めたゼリー 4個
・食べ物等(キウイ、ショウガ、パパイヤ、水)
・おろし器
・布巾(またはキッチンペーパー)

【手順】
(1)キウイ、ショウガ、パパイヤをそれぞれおろし器で摩り下ろして、布巾かキッチンペーパー等で漉して、大さじ1用意します。

(2)実験1で固めたゼリー4個の重さをはかり※※、ぞれぞれに(1)の3種類の汁を大さじ1ずつと、水大さじ1を入れて約3時間室温で放置します。(ここで水を1つの材料として使うのは、水分とゼラチンの関係を調べるためです。)

(3)容器内の液体を静かに捨てて、残ったゼラチンの重さをはかります※※。

※※量る重さは、プラスチック容器とゼリーの合計になります。

【実験の結果】
キウイは重さが減りますが、ショウガはあまり変化ないでしょう。また、パパイヤについては青色なら減りますが、黄色だと減らない可能性があります。これらは実験する食べ物の熟成度などによっても異なりますから、ここでお話ししたのと違う結果になっても気にしないで実験通りに書きましょう。

比較のための水については、重さが2g程度増えるのですが、このことからゼラチンは水分を吸収する性質があると分かります。そのことから、他の3つの食べ物についても、同じ量だけ水分を吸収すると考えられます。

ですから、実験2と実験3では以下の7種類についてゼリーに入れるとどうなるかを調べましたが、ゼラチンの分解量は次の式のようになります。

・パイナップル(室温、-18度、80度)
・キウイ
・ショウガ
・パパイヤ

ゼラチンの分解量
={(汁を入れる前の重さ)-(3時間放置後に残ったゼリーの重さ)}+(水の増えた量、ここでは2g)

【考察とまとめ】
以上のことから、パイナップルにはゼラチンなどのタンパク質を分解する力があり、これは酵素の作用によるのですが、酵素は熱に弱く、80度くらいの高温になると作用が弱くなります。逆に0度以下の低温にした場合は影響がありません。また、酵素はパイナップル以外にもキウイやショウガ、パパイヤにも含まれています。

さいごに

今回以外の食べ物で、メロンやいちじく等にも酵素は含まれているので、余裕があれば、これらの食べ物についても調べてみると良いでしょう。

ちなみに、タンパク質を分解する酵素は食べ物によって異なり、今回使った物では次のようになっています。

・パイナップル→プロメライン
・キウイ   →アクチニジン
・ショウガ  →ショウガプロテアーゼ
・パパイヤ  →パパイン

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