いくらの自由研究はアルギン酸ナトリウムの実験セットで簡単に♪

勉強

理科の自由研究をしたいと考える小学生中学生の中には、人工いくらを作る自由研究をしたいと考える人もいるでしょう。
でも、

・何を使えばいいのか
・どのように実験するのか
・作ったはいいけど、どうまとめるのか

このようなことで躓く人が多いです。

実は、人工いくらを作るにはアルギン酸ナトリウムを使う必要があるのですが、これは中々手に入りにくい物質です。
今回は、実験セットを使って簡単に1日で行う方法や、まとめ方で作るだけでは物足りない中学生向けの高度な膨らませ方をお話しします。

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いくらの自由研究をするには?

いくらの自由研究をする場合、最終的にはアルギン酸ナトリウムなどを使っていくらを作るのですが、ただ作るだけでは、小学校高学年から中学生の場合は物足りない感じがするでしょう。
ですから、最初に人工いくらがどんな物か、天然いくらとの違いを調べたりして予備知識を頭に入れておき、実験をしてまとめると内容を膨らませることが出来るし、実験の考察なども深く書くことができますよ。

天然いくらは鮭やマスの卵巣を取り出して1粒1粒バラバラにして味付けしたものです。

一方、人工いくら(人造いくら)は天然いくらを真似した食べ物で、海藻から抽出したアルギン酸ナトリウムというエキスを使って作るのですが、これは世界で初めて富山県の日本カーバイド工業が開発したものです。開発した当時は天然いくらの収穫量が少なかったため画期的な開発だとして出回ったのですが、近年では天然いくらは安く輸入できるため、回転寿司屋さんのネタであっても天然いくらを使うようになったためあまり見かけることはありません。(人工いくらを作る手間の方が逆に高くつくそうです。)

ところで、今回実験で作る人工いくらは、工場などで作る正式な人工いくらとはちょっと構造が異なります。
というのも、天然いくらは、外側が膜で、その中は液状なので、食べるとプチッと弾けて潰れるのですが、工場で作る人工いくらは同じ食感になるように精巧な作りになっているのです。
これは技術の発達している工場だからこその技であり、残念ながら、家庭で作る人工いくらでは出来ずに中身はゼリー(ゲル)状となります。
細かい構造は以下の通りです。

(1)工場の人工いくら
三重構造になっています。
外側→アルギン酸カルシウムの膜
中身→いくら味の液体(+食用色素)
目玉→サラダ油(+食用色素)

(2)家庭で作る人工いくら
二重構造になっています。
外側→アルギン酸カルシウムの膜
中身→アルギン酸ナトリウムでゲル状(+食用色素)

ちなみに、工場では、天然いくらそっくりな人工いくらを作るため、アルギン酸ナトリウム水溶液を垂らすノズルに、外膜になるアルギン酸ナトリウム水溶液と、中身のイクラ味の液体2種類を同時に垂らすよう工夫してあります。そして、更に精巧なイクラに見せるため、もう1つノズルを追加して目玉になる油を中心に入れています。


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アルギン酸ナトリウムの実験セットで自由研究を簡単に♪

【用意する物】
アルギン酸ナトリウム 2g(小さじ1弱)
乳酸カルシウム   2g(小さじ1弱)
食用色素(適量)
水 200ml×2個

ハンドミキサー
ビーカー等 2個
あく取り網
スポイト(またはストロー)

【作り方】
(1)アルギン酸ナトリウム水溶液を作ります。
 ⅰ)ビーカー等に水200mlを入れてからアルギン酸ナトリウム2gを加えてハンドミキサーで攪拌します。(スプーン等で混ぜても良いのですが、ダマになりやすいためミキサーを使う方が簡単です。もしダマになった場合は、ラップをかけて一晩冷蔵庫で放置※しておくとダマが膨らんで溶かしやすくなります。)
 ⅱ)完全に溶かしたアルギン酸ナトリウム水溶液に食用色素を入れて混ぜます。この量は少しずつ加減して、お好みの色にして下さい。

※アルギン酸ナトリウム水溶液は常温だと傷んでしまう可能性があるので、必ず冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。

(2)乳酸カルシウム水溶液を作ります。
ビーカー等に水200mlを入れてから乳酸カルシウム2gを加えてよく混ぜます。

(3)人工いくらを作ります。
スポイトを使ってアルギン酸ナトリウム水溶液を一滴ずつ乳酸カルシウム水溶液の中に落としていきます。
IMG_0262
*スピードを変えてみよう
ゆっくり一滴ずつ落とすと、人工いくらの球になります。
一気にぎゅーっと押し出すと、紐状の長いゼリーになります。

完成した人工いくらは、次の2つの条件を満たしている場合に限り、食べても大丈夫です。
・アルギン酸ナトリウムや乳酸カルシウムが食用となっている場合
・一連の作業をきれいな道具で行った場合

ただ、食べる際は、念のため人工いくらを水でさっと洗ってから食べる方が良いでしょう。
(基本的に乳酸カルシウムはそのまま食べても問題ないとは言われていますが、人によっては苦みを感じることがあります。)

下の写真は我が家で実験した人工いくらを使った「イクラ丼」です。
IMG_0271

ところで、この実験で一番の難関が、アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムをどこで入手するか、ということなのですが、これは、実験セットを購入するのが一番手っ取り早いし簡単です。
単品でも入手できるのですが、次のような少量のセットで購入するのが便利です。

自由研究のまとめ方で中学生向けポイント~アルギン酸ナトリウムの特徴

自由研究のまとめ方は、

(1)タイトル
(2)作成者名(学年、組)
(3)研究動機・目的
(4)材料・道具
(5)人工いくらの作り方・作った工程での様子(手順ごとに写真を撮って貼るとラクだし見栄えが良くなります。)
(6)考察・感想(作ってみて感じたことや、作る前に予想していた物との違いなど)

という流れで書くのですが、この記事でいうと、主に前章を使って(4)と(5)を書いて実験し、最初の章の内容で(3)と(6)について書けると思います。

そして、中学生の場合で、もし余裕がある場合は、アルギン酸ナトリウムについて科学的な視点で次のようなことを考えて、考察に付け加えて書くと内容が充実するでしょう。

人工いくらは、何故ぷよぷよになるのか?

人工いくらが、ぷよぷよになるのは、アルギン酸ナトリウムの特性が原因です。アルギン酸ナトリウムは海藻から抽出したエキスで寒天やカラギーナンと似ている物質なのですが、わかめや昆布など海藻のヌルヌル成分の1つで、海藻の体を支える食物繊維でもあります。
人工いくらを作る工程に添ってお話しすると、次のようになります。

アルギン酸ナトリウムを水に溶かすとアルギン酸イオン(-)とナトリウムイオン(+)に分かれます。
次に、アルギン酸ナトリウム水溶液を1滴、乳酸カルシウム水溶液に落とします。
すると、アルギン酸ナトリウム水溶液は水中の表面張力により球状になり、アルギン酸イオン(-)が周りの乳酸カルシウム水溶液中のカルシウムイオン(+)と結合して、球の表面がゲル化してぷよぷよした膜になるのです。(これがアルギン酸カルシウムで、この膜は水に溶けません。)
一方、球の内部は、カルシウムイオンと結合しなかった部分が残っており、水分も多いです。

一方、アルギン酸と似ている寒天やカラギーナンは、加熱して溶かして冷やさないとゲル化しません。
アルギン酸の場合は加熱する必要なくゲル化するのですが、カルシウムと合わせないとゲル化しない、というのも大きな違いです。

ところで、アルギン酸カルシウムは人体に無害なので、熱に強いゼリーを作ったり、小麦粉などに作用して組織を強くします。
人工いくらの膜に使われる以外にも、知育菓子のゼリー、ビールの泡の安定性向上、パンや麺の安定性向上などの目的で活用されています。

さいごに

人工いくらの作り方では、アルギン酸ナトリウムを溶かすのがダマになりやすく時間がかかるかもしれません。ただ、ハンドミキサーで攪拌すればあっという間に出来るし、やり方次第では夏休み最後の追い込み1日で出来る実験です。

また、余裕のある人の場合は、上記実験だけでなく、アルギン酸ナトリウム水溶液を作る際に、水の代わりにジュースを使ってみると、美味しいイクラ風ゼリーが出来ます。コーヒーや抹茶、トマトジュースなどを使うと楽しめるので、是非やってみて下さいね。

夏休みの自由研究や読書感想文で困ったら?~夏休み課題目次ページ

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