この写真の花は何かご存知ですか?
正解は、桃の花です。
桜と梅と桃は地域や品種によって開花時期が異なりますが、だいたい2月から4月に咲くものが多いです。そして、この時期に街で花を見つけると、これは桜梅桃のどれだろう?と悩む人が多いのではないでしょうか。
今回は、桜と梅と桃の違いについて、花びら、つぼみ、葉、幹などによる見分け方や、梅は「ほころぶ」、桜は「咲く」と表現する理由などをお話しします。
桜と梅と桃の違いは?
桜、梅、桃はいずれもバラ科モモ亜科の植物で、パッと見た感じは非常に似ています。ですが、部分ごとによく観察すると明らかに違うところもあります。まずは、花が咲いた場合の違いを確認しましょう。
◆花びらの形状
1枚ずつ見ると、次のように形が異なります。
- 桜→楕円で先端が割れてハートのようになっている
- 梅→丸い
- 桃→楕円で先端が尖っている

◆花全体の様子
花全体を遠くから眺めてみると、次のように花の付き方が異なります。
- 桜→枝の先端寄りに多い
- 桃→枝全体についている
- 梅→枝の付け根側に多い
◆花と枝の関係
花と枝の関係を見ると、次のように異なります。
- 桜→枝に花枝がつき、複数の花が房状についている
- 梅・桃→花枝がなく、直接枝に花がついている
ちなみに、梅と桃の違いは花芽の状態で確認します。
- 梅→花芽1個ずつ
- 桃→花芽2個と葉芽1個が同じところから出ている
桃は葉が花と同時に出るのが大きな特徴であり、梅との決定的な違いとも言えます。(上の写真でも梅の花には葉がありませんが、桃の花には葉がついていますよね。)
梅桜桃をつぼみ状態で簡単に見分ける方法とは?
花が開いたら見分けることはできるけど蕾だと分からない、という人もいるでしょう。でも大丈夫です。梅、桜、桃はつぼみ状態も異なるので、簡単に見分けることができます。最初に、つぼみの写真を確認してみましょう。
なんとなく、雰囲気が違うことは分かりますよね。では具体的に項目別にご説明します。
◆つぼみと枝の関係
- 桜→枝と花の間に花枝があり、複数の花が房状についている。
- 梅・桃→枝と花の間に花枝がない。
桜の花枝は上の写真左側のような短いものもあれば、下の写真のように長めのものもあります。
梅と桃の区別は蕾と枝の関係だけでは分かりにくいので、蕾の形や花芽の状態によって区別しましょう。
◆つぼみの形状
- 桜→細長い
- 梅→真ん丸
- 桃→丸みがある
つぼみ状態だと桃の花も丸みがあるので、まだ分かりにくいのですが、桃は開きはじめると花びらが長くなるので区別できます。その他の見分け方としては次の花芽の個数や葉の有無になります。
◆花芽の個数
- 桜→花芽2個以上。
- 梅→花芽1個ずつ
- 桃→花芽2個。葉芽も花芽と同じところから出る。
梅と桃は花芽の数が異なることから、梅は花が散らばって咲き、桃は花が固まって咲くように見えます。
桜梅桃の葉や幹などの違いは?
花以外では、次のような違いがあります。
◆葉
- 桜→花が終わってから葉が出る品種(ソメイヨシノ等)と、葉と花が同時の品種(大島桜、八重桜、里桜等)がある
- 梅→花が終わってから葉が出る
- 桃→花と葉が同時に出る
※葉と花の関係から、花枝が短く、花が2つ、葉が1つ同じところから出ている場合は桃と考えて大丈夫でしょう。
◆葉の形状
- 桜→大きめの楕円形で縁がギザギザしている。(桜餅で包んである葉は大島桜の葉です。)
- 梅→楕円形で縁がギザギザしている。
- 桃→かなり長めの楕円形。(桃の葉はタンニンを含んでおり湿疹などの肌に効用があるといわれています。)
※葉の形は桃だけ長いため、桜、梅との違いが明らかです。桜と梅は似ているので区別しにくいです。
◆幹
- 桜→幹の樹皮に横縞が入っている
- 梅→幹の樹皮はゴツゴツした、不揃いな割れ目が入っている
- 桃→桜よりも目立たないけど、幹の樹皮に薄っすら横縞が入っている
梅はほころぶ 桜は咲く 表現の違いの理由は?
普通は開花するときに「咲く」と言いますが、梅の花が開くときに少しだけ開いた状態を「ほころぶ(綻ぶ)」という表現をします。
「綻ぶ」が「縫い目が解けること」「まとまっていた形が少し崩れること」を意味することから、「花が綻ぶ」というのは蕾が解けて花びらが徐々に開いていく様子を意味します。梅の花のつぼみは丸くぎゅっと結ばれたような形ですが、これが少しずつ和らいで開いていく様子はまさに「ほころぶ」なのです。
桜のつぼみは、少々長く、最初の段階が「まとまっていた」という感じに見えないので「ほころぶ」という言葉は使わないようですね。
まとめ
桜と梅と桃の違いについて細かく挙げましたが、花びらやつぼみ、葉の形状でだいたい見分けることが可能です。
開花していれば花びらの形で、丸いのが梅、尖っているのが桃、先割れハートが桜です。
つぼみの場合は花枝の有無で、長い花枝が桜、花枝が無く枝から直接出ているのが梅と桃ですが、桃は2つの花と1つの葉が同時に出てきます。
また、全体の様子を見ると、複数の花芽が出る桜が一番華やかで、次が2つの花芽の桃となっており、梅は花芽が1つなので質素な雰囲気です。
ぜひ、これらの違いを思い出しながら街の花が何か当ててくださいね。