青虫の寄生虫コマユバチを防ぐには?背中の黒い点の正体は?

生活の知恵

青虫には寄生蜂のコマユバチがつくことがあります。
我が家でもこの数年間青虫を育てることが多いのですが、毎年7、8月頃の青虫はよく寄生されており、無事に羽化できる青虫が少ないのです。

今回は、コマユバチを防ぐ方法がないか、もしコマユバチが寄生していたらどうするのか、また、背中の黒い点について、我が家の経験などを含めてお話しします。

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青虫の寄生虫コマユバチとは?

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アオムシコマユバチは、モンシロチョウの幼虫(青虫)の体内に約80個もの卵を産みます。約3日経過した段階で孵化して、青虫の体液を吸収して成長し、一度脱皮します。寄生後約14日経過すると、80匹が一斉に脱皮をしながら青虫の体を食い破って出て、繭を作り蛹になります。その後、蛹になってから約7日後に羽化します。

通常、動物には防衛反応があって体内に異質な物が侵入すると阻止するように作用するはずですが、コマユバチが寄生すると、青虫の免疫物質が作用しないような毒液などを青虫に注入してしまうため、青虫は寄生虫を異物と認識せずに、寄生虫が体内で成長してしまうのです。

青虫に寄生する蜂では、アオムシコマユバチの他にヒメバチもいます。
ヒメバチは青虫が幼虫の段階で孵化して体液を吸収して成長するのですが、コマユバチと違って青虫が蛹になった後に中身を全て食べてから蛹になり、自身の羽化後に空の青虫の蛹の殻を破って出てきます。
ヒメバチの場合は複数の卵を産むのですが、孵化して青虫の体内で脱皮した後にヒメバチ同士の共食いによって1匹だけが生き残って成虫になります。

青虫に寄生するコマユバチを防ぐには?寄生された場合は?

残念ながら、寄生された場合は助ける方法がないようです。
特に暑い時期である7~8月頃に育つ青虫にはアオムシコマユバチが寄生していることが多く、我が家でも外で見つけた青虫を育てたところ、ほぼ全部寄生されていたというケースが多かったです。

なぜ小さい青虫なのにアオムシコマユバチに発見されて寄生されてしまうかというと、青虫がキャベツを食べることが原因といわれています。
青虫はキャベツ等のアブラナ科植物を食べて成長するのですが、食べられたアブラナ科植物は、その際にカイロモンという揮発性の化学物質を出して、アオムシコマユバチはその物質に引き寄せられます。そして、引き寄せられたアオムシコマユバチは触角でキャベツ等の葉を叩いたりして青虫の居場所を突き止めて産みつけるのです。

ですから、青虫がキャベツを食べる以上、産みつけられても仕方ありません。私達がアオムシコマユバチを防ぎたいと思うのであれば、青虫が孵化していない、卵の状態で捕獲するしかないのです。

アオムシコマユバチが寄生した時にどうすれば良いのか?

人間にとって青虫は可愛い昆虫と考える人が多いのですが、キャベツ農家にとってはキャベツを食べる害虫です。アオムシコマユバチは青虫に寄生する害虫ですが、自然界の掟を考えると、どちらを保護すべきかという問題ではないのですよね。
ですから、確かに子供が青虫を飼っていて寄生された場合は、青虫は可哀想、と感じますし、なんとか助けてあげたいと思うものですが、我が家では「アオムシコマユバチも生きるために必要だから寄生したんだよ。これも自然の掟なんだよ、自然って厳しいんだね」というような話をしています。

とはいえ、子供の立場では折角可愛がっていた青虫がそのまま死んでしまうのは辛いので、出来る限りの処置をしてあげたくて、アオムシコマユバチの幼虫が外にウジャウジャ出た時に除去したり繭状態のものを除去したりしました。
ですが、体内にいる時からコマユバチの幼虫は青虫の体液を吸い取っていて青虫の体力はかなり消耗しており元気がないです。そして、全部取り除いたとしても、どれも殆ど動かずじっとしたままで、その後は蛹になることなく、どれも2~3日で息絶えてしまいました。

正直言って、アオムシコマユバチが青虫からウジャウジャ出現すると不気味ですし、子供も見るのが気持ち悪いし怖いと言うのですが、間近で世話することで、自然界の掟の厳しさを実感する良い機会になったようです。


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青虫の背中の黒い点は何?

ところで、青虫が寄生された場合は、背中に黒い点が付いています。
寄生された当初は小さいので判別がつきませんが、青虫から出てくる2~3日前になると黒い点々が確認できるようになります。
また、「あれ?黒い点々がある、アオムシコマユバチに寄生されたかもしれない」と思う頃には青虫の動きが弱ってくるため、動きが鈍くなったり壁で動かなくなることが多いです。

ちなみにこの黒い点はアオムシコマユバチとヒメバチの場合に状態が次のように異なります。

アオムシコマユバチ→寄生した場合は青虫の背中に複数の小さな黒い点が存在します。
ヒメバチ→寄生した場合は青虫の側面に黒く大きい点が1つ存在します。

下の写真はアオムシコマユバチが寄生した青虫です。
aomushi1
所々に黒い細かい点があり、体全体の色が黒っぽくなっていますよね。

そして、時々紛らわしいと感じるのが下記の写真です。
aomushi3
こちらは黒い点ではないのですが、ちょっと濃い色ですよね。
これは寄生蜂ではなく、オスの精巣です。この幼虫は無事に蝶になりました。

モンシロチョウの場合、小さい幼虫だと確認できませんが、2回程度脱皮した後だとオスの場合、2つの精巣が外から見て確認できるのです。これは寄生蜂ではありませんので間違いないように!

■雄雌の区別についてはこちらの記事をご覧ください。
青虫 さなぎから羽化までの期間やなる前の準備は?虫の雌雄区別は?

さいごに

青虫にアオムシコマユバチが寄生したら、手の施しようがありません。
小さいお子さんが見るとショックを受ける可能性もあるので、苦手なお子さんが青虫を飼う場合は、幼虫でなく卵を見つけて育てる方が良いでしょう。

■青虫に関する悩みや、他の虫の悩みはこちらをご覧ください。
虫に対する恐怖や困り事はこちらで解消!~虫関連のまとめ

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コメント

  1. 北陸人 より:

    私も子供の頃、モンシロチョウの幼虫がコマユバチの魔の手にかかっている現場を見て
    ショックを受けたのを覚えています。世が世なら、私が化学者となって、コマユバチ専用の殺虫剤を開発して、飼育しているモンシロチョウの幼虫が犠牲になり、悲しい思いをする人を減らす手助けをしたいものです。

    • ゆきえ より:

      北陸人さま

      コメントありがとうございます。
      子供の立場では青虫の味方ですからコマユバチは天敵。魔の手にかかる現場を見るとショックですよね。
      うちの子は「気持ち悪い」「見たくない」と、グロテスクな状態がショックだっただけでした。
      北さんから正義感溢れるコメントをいただき、そういう発想もあるのだなあ、と嬉しく思う反面、キャベツ農家の人からすると、青虫は天敵だから、そういう殺虫剤が開発されたら困るのだろうなあ、という考えも思い浮かびました。
      とはいえ、コマユバチ1つをとっても子供1人1人の感じ方が違うものだなあということを知りました。気付きを下さり有難うございます。

    • Riri より:

      是非開発お願いします。
      たまたまこのハチの魔の手の状態にかかっている青虫を今日見てしまいました。
      発売したら絶対買います。

      • ゆきえ より:

        Ririさま

        コメントありがとうございます。
        北陸人さんが化学者になって開発してくれるといいのですけどね。
        青虫もキャベツを食べる害虫とはいえ、私達にとってはやはり可愛い虫なので。

  2. t より:

    私たちケール農家や農家にとってだけでなく皆さんにとってもモンシロチョウは「白い悪魔」なのですよ。この大食いの交尾好き(大食いで淫乱?でもこれは事実です)の虫はその愛らしさとは正反対の小さなモンスターです。皆さんが農薬や得体のしれない微生物農薬を振りかけなければキャベツ、ケール、ブロッコリを食べることができないのは全てこの小さな妖精のような虫のせいです。青虫が特に好むのはキャベツより栄養価がずっと高いケールです。遠藤青汁という小さな青汁屋さんは70年前からケールを栽培し日本に広めてきました。彼らにいかにケール栽培が困難か尋ねてください。遠藤青汁愛媛支部の中井さんは私の知人です。私たちは毎日、体をくたくたにさせながら癌や難病の方たちのため戦っているのです。その相手はまるで大食い選手権に出たり、体を売る若い子たちに似ている。違うのは、それが虫で、こっちは人間であることだけです。中身は同じ破壊的力、腐敗の象徴です。表面的にではなくもっと現実を見てください。容姿に騙されないでください。ケールの値段が高い理由はあまりに大食いな青虫のせいです。本来、年間を通し、かいでもかいでも新しい葉を再生させるケールは一番安いはずです。なぜならキャベツの数倍収量があるからです。もし自分が癌になったと想像してください。昔からこの植物は多くの人たちを救ってきたのです。青虫さえいなければケールは飢饉をも救う植物です。実際、ホルトガルの飢饉を救ったと伝えられています。もし宜しければ、中井氏に連絡しケールの種を得て自分で育ててみてください。そうすれば私の言うのが真実であるのが分かるでしょう。現実がいかに厳しいか、恐ろしいか、その小さな体験ですら明白に教えてくれるでしょう。尚、日本で販売されているケールはほとんど全て偽物で何と掛け合わされたか不明の雑種ばかりです。だから花の色が黄色い。黄色の花のケールがすべてニセというわけではありませんが、本物は白い。

    • ゆきえ より:

      tさま

      コメントありがとうございます。
      なるほど、ケール農家さんにとっては、とんでもない害虫なんですね。
      私もこの記事を書いた当時は、小学生だった子供の視点で
      単にかわいいペット、のような視点でしかありませんでした。

      数年経過し、食べる立場として蝶を眺めるようになり、
      「おや?想像していたのと違うかも・・・」
      というところに思い至ったのですが、農家さんにとっては
      そんな簡単な問題ではなかったのですね。

      子供の教育も、単に生き物を飼って命の大切さを知る、というだけでなく、
      人間を含めた食物連鎖まで踏み込んで教えていかなければいけないのだと感じました。
      ケールを育てることの大変さを教えて下さりありがとうございました。

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