医療費控除を受ける場合、医療費の明細書に記入する必要があるのですが、書ききれない場合はどうすれば良いのでしょうか。
今回は、医療費控除の明細書に書ききれない場合の対処方法や、エクセル入力による方法、交通費等の書き方について、多くの人が躓きやすいポイントをご説明します。
医療費控除で医療費の明細書に書ききれない場合は?
平成29年分から「医療費控除の明細書」の書式が変更されており、現在の書式は以下のページで印刷できます。
この書式には明細が16行書けるようになっています。
印刷したら、次はこの用紙と領収書を使って作業していくのですが、その手順は以下のような感じですね。
(1)支払先の病院や薬局毎に領収書をまとめます(ホチキス留めするとやりやすいです)。
(2)まとめた領収書ごとに1年間分の金額を集計します(領収書の最初のページに金額を朱書きすると見やすいです)。
(3)医療費控除の明細書に、領収書1まとめ(病院や薬局)毎に1行に記入します。
・・・この時に支払先件数が少なければ16行で充分足りるのですが、医療費控除を考えるような家庭だと1人で10以上の病院にかかっているケースもありますよね。これで家族全員分を取りまとめたら、何十行にもなってしまい、16行では足りなくなってしまいます。
このように「医療費控除の明細書」に書ききれない場合は、同じ用紙をコピー(または印刷)して複数枚使いましょう。ただ、そのままだと、ページが2枚以上あることが分かりにくいため、以下の手順で書いていくと良いでしょう。
(1)ページ数を全用紙に記入(「1/3、2/3、3/3」「1ページ、2ページ、3ページ」等)
(2)合計金額(「2の合計」「医療費の合計」)を最終ページのみ記入
(3)「3 控除額の計算」を最終ページのみ記入
医療費控除で医療費の明細書をエクセルで作るには?
ただ、手書きで何人分も記入していくと、間違えた時の訂正が面倒なのですよね。そこで、支払先が多い場合は手書きでなくパソコンで入力すると、作業がとても楽になりますよ。
パソコンで入力する場合は、以下のページからExcelファイルをダウンロードします。
→国税庁 医療費集計フォームのダウンロード
このファイルを使うと、金額を入力すれば合計金額が自動計算されるため計算ミスが防げるし、継続的に病院や薬局を利用していれば、来年以降のフォームに使い回しも出来るので(もちろん金額については年毎に集計し直しますが)、非常に便利です。
また、確定申告そのものの用紙をパソコン入力する場合、
→国税庁 確定申告等作成コーナー
こちらのページで入力できるのですが、医療費控除を入力する際に、Excelで作成したファイルを読み込むことで確定申告データに自動反映されるので非常に便利です。
→国税庁 医療費控除の入力編(PDF)
このリンク先の8ページ以降を見ると、医療費集計フォーム(Excel)の読み込み方法について詳しく記載されています。
Excelの医療費集計フォームに入力した場合は、このフォームのまま印刷して添付書類とすることが可能です。
ちなみに、フォームのデフォルトでは1ページ目しか印刷されない設定になっているので、行数が多い場合はページ設定を変更する必要があります。(Excelの使い方が分からない場合は以下のページで設定変更方法をご確認ください。)
→Q&A 医療費集計フォームの2ページ目以降を印刷する方法
医療費控除で医療費の明細書の交通費の書き方は?
医療費控除では、病院や薬局以外の領収書も対象となるのですが、記入するにあたって一番分かりにくいのが通院費用(交通費)ですよね。
交通費の記入についても、病院等の領収書と同様に、1人ずつ、支払先別に1行ずつ記載していきます。
手書きの場合とエクセル入力の場合両方とも共通ですが、医療費控除の明細書の分かりにくい項目2ヶ所は次のように書きます。
- 「(2)病院・薬局などの支払先の名称」→「JR」や「○○バス」等の名称を書きます。
- 「(3)医療費の区分」→「□その他の医療費」にチェックをつけます。
医療費控除における交通費は「通院時にいくらかかったか」という整合性が重要です。国税庁のホームページには具体例がないのですが、通院時の交通手段や金額がきちんと確認できる書類を用意して保管しておく必要があるのですよね。
そこで、「別紙」としてメモ書きしたり、Excelで1回毎の記録をつけておく方法もありますが、これを5年間保存しておくのも煩わしいかもしれません。そこで、医療費の明細書を記入する際に、病院毎に1行ずつ交通費の欄を設けて、(2)支払先の欄に「○○バス 210円×○往復」というように、書くと分かりやすいですよ。
医療費控除にパスモ・スイカの履歴は使えるの?
細かく交通費の記録をつけるのは手間がかかるから、PASMOやSuicaの履歴や、チャージ領収書を使いたいと考える人もいますよね。でも、医療費控除における交通費は整合性が重要なので、これらを使うことはできません。
チャージ領収書は前払いの性質があり、実際に何に使われるかが確認できません。また、PASMOやSuicaの履歴は確かに駅名等の履歴は出てきますが、1医療機関に対する履歴ではなく、様々なものが混在しているため、確認しづらい証憑でしかないのです。ですから、1医療機関ごとに金額をまとめていく、という方向で考えなければならないのです。
さいごに
ところで、総合病院で診察を受けて薬が出た場合(院内処方)については、領収書が1枚で2つの内容になってしまうのですが、この場合の「(3)医療費の区分」欄は、「診療・治療」と「医薬品購入」の両方を選択することになります。
医療費控除は、領収書が多いと大変だなあ、と感じるかもしれませんが、地道に領収書をまとめて、区分等に注意して金額を記入すれば、だいたい出来たようなものです。合計額から10万円が引かれた金額が医療費控除額なので、やってみると案外還付額が少ない、ということもあり得ますが、それでも還付は還付ですし、たくさん医療費がかかっている家庭にとっては嬉しいですよね。
ですから、ちょっと大変かもしれませんが、ぜひ領収書を地道に整理して、金額を集計してみてください。
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