医療費のお知らせとは?いつ届くの?来ない場合に再発行は可能?

季節のはなし


平成29年分の確定申告から、領収書の代わりに「医療費のお知らせ」(医療費通知書)が使えるようになるという話を聞いて、

領収書はないけど医療費通知書を見たら結構支払額が多いし、確定申告で医療費控除を受けることができるかもしれない!

と俄然やる気になっている人がいるのではないでしょうか。

でも、医療費のお知らせとは、そもそも、

どんな書類で、どんな使い道があって、いつ届くのでしょうか。
「一度も来ない」という人もいるようですが、何故でしょうか。
また、紛失時の再発行は可能でしょうか。

今回は、「医療費のお知らせ」に関する疑問について詳しくお話しします。

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医療費のお知らせとは?

「医療費のお知らせ」は保険証を使って医療機関で診療を受けた際の医療費明細が、数ヶ月から1年単位で集計されたものです。自分のものだけでなく、扶養家族がいる場合は全員分の医療費明細が記載されています。

「医療費のお知らせ」には、以下のような内容が記載されています。

(1)被保険者等の氏名
(2)療養を受けた年月
(3)療養を受けた者
(4)療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
(5)被保険者等が支払った医療費の額
(6)保険者等の名称

医療費のお知らせの目的

「医療費のお知らせ」は、以下の目的で発行されます。

(1)(ある一定期間における)医療費総額の確認
「あなたの家庭(被保険者と被扶養者)においては、健康保険を使って医療機関を受診した費用が○○円もかかっているのですよ」と自覚してほしい、ということですね。

(2)医療費請求の確認
医療機関の誤請求や不正請求がないか、という理由もあります。なので、「医療費のお知らせ」と家で保管している医療機関の領収書を照合して、誤りがないか確認してください、ということです。

(3)健康や医療への関心を深める
支払った医療費総額が分かると、その期間の自分の健康状態も分かりますよね。これを振り返って、家族が健康でいられるように見つめ直して欲しいという意図があります。また、医療費が増え続けると健康保険の財政が厳しくなり、保険者としては保険料を増額しなければ保険を維持できないのです。

医療費のお知らせの使い道は?

今まで、「医療費のお知らせ」を受け取って戸惑っていた人も多いようです。自分の名前と医療機関名、金額が書かれている紙を受け取ると、「何か悪いことをしなのではないか」「何か請求されているのではないか」などと心配してしまうのですよね。

でも、基本的に、受け取っても、何もしなくて大丈夫です。

既にお話ししたように、この請求に間違いがないかという確認が主目的なので、それを確認して、身に覚えのない医療費がなければ保管せず捨てても大丈夫です。ただ、今後は確定申告する場合に必要になる可能性もあるので、暫くの間は保管しておき、その年の確定申告に使わないことが確実になった時点で処分するようにしましょう。


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医療費のお知らせは いつ届くの?

「医療費のお知らせ」は加入している健康保険によって、いつ、どのくらいの期間ごとに来るのかが異なります。
ですので、自分の確実な情報を知りたいのであれば、ご自身の保険証に書かれている「保険者」と「電話番号」欄を確認して、そこに電話して「医療費のお知らせ」の送付時期について訊きましょう。

ちなみに、健康保険には大きく分けると以下の種類があります。

・協会けんぽ(全国健康保険協会)
・組合健保(組合管掌健康保険)
・共済組合
・国民健康保険
・後期高齢者医療制度

この中で、協会けんぽの保険者は1つですが、都道府県によって対応が異なります。その他の健康保険については、保険者が複数存在しており、それぞれ制度内容も対応も、保険料率も異なります。

なぜ保険者によって対応が異なるかというと、元々は、健康保険制度を作るにあたり、それぞれ独自の規約を定めるのですが、その規約に「医療費のお知らせ(医療費通知)」に関する取り扱いが定められており、それに則って運用されているからです。(規約は独自で決められるのですよね。)そして、「医療費のお知らせ」の取扱いには、大きく分けると以下のような方法があります。

  • 加入者全員に送付する(年1回、2ヶ月に1回、半年に1回など頻度も色々あります。)
  • 希望者のみ送付する
  • Web上でログインして閲覧する
  • ある一定の基準を満たすケースのみ送付する(医療費総額5万円超など)
  • 一切送付しない

具体例を出す方が分かりやすいので、いくつか事例をピックアップしてみました。

■協会けんぽ
1年に1回、2月上旬に送付されます。
今年(H30年)2月に送付される分は、H28年10月からH29年10月分(13ヶ月分)ですが、来年以降は前々年11月から前年10月分までを2月に送付する、という形になる予定です。

■組合健保:トヨタ関連部品組合
2ヶ月に1回発行されます。(1~2月分→5月発行、3~4月分→7月発行、5~6月分→9月発行、7~8月分→11月発行、9~10月分→1月発行、11~12月分→3月発行)

■組合健保:関東ITソフトウェア健康保険組合
普段はWeb上でログインして医療費を確認する方法です。今年の確定申告から医療費通知が使えることになったことから、Web上で発行申請を受け付けたものについて郵送していく方向になる見込みです。

■国民健康保険:
東京都世田谷区→年1回、11月頃とされています。
東京都江戸川区→年1回、9月上旬頃発送(前年4月~その年の3月)
神奈川県横浜市→年1回、3月(前年1~12月分)

ただし、国民健康保険の場合は、多くの市区町村の「医療費のお知らせ」の書式が確定申告における国税庁の定める要件を満たしていないため現時点のものは確定申告に使えない、と注意書きしているケースが多いです。(今後システム改修して医療費控除に対応できるようにしていく市区町村もあるようですが、全ての市区町村がそうなるかは不明です。)

医療費のお知らせが来ないのは何故?再発行は可能?

「医療費のお知らせ」が来ない、という場合、以下のような原因が考えられます。

  • 対象期間内に医療機関で受診しなかった
  • レセプト内容が審査中で間に合わなかった
  • 元々「医療費のお知らせ」を送付する定めがなかった(Web上で閲覧は可能なケースと、Web閲覧もないケースがある)
  • 精神科等の個人情報保護上ナーバスな記載がある場合には送付しない、というケースもある(精神科等の扱いについては保険者によって対応が様々ある)

また、発行されたけど、うっかり無くしてしまった場合などに再発行してもらえるか、というと、多くの健康保険では再発行してもらえません。まあ、「医療費のお知らせ」があれば領収書よりも金額がまとまっているので確定申告が楽になりますが、多くの人の場合には「医療費のお知らせ」だけでは確定申告が完結できないと思われますし、再発行を考えるよりも、領収書を地道に保管しておき、それを確定申告に使う方が、やはり無難でしょう。


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さいごに

「医療費のお知らせ」は何故そんなに遅くなってから届くの?

と思うかもしれません。でも、業務が怠慢なワケではないのですよね。医療機関から健康保険組合へ医療費請求される時期が受診2ヶ月後、健康保険組合がそれを確認して受診者毎にまとめるのに1ヶ月かかってしまうため、それをまとめた「医療費のお知らせ」は最低でも3ヶ月は必要で、遅い場合は半年くらいかかってしまうのです。

ですから、この記事をご覧になる多くの人は、確定申告に「医療費のお知らせ」を使いたい人だと思うのですが、実際に1月から12月分までの1年分全てを「医療費のお知らせ」だけに頼るのは難しいかもしれません。(それに、確定申告は1月から12月という区切りですが、健康保険の場合は年をまたいだ中途半端な区切りの可能性もあるのです。)

ということで、「医療費のお知らせ」をアテにするのではなく、毎回の医療費の領収書を捨てずに保管しておく方が良いでしょう。

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