子供が帰宅したら最初にさせるのが、手洗いとうがいです。
でも、面倒でやらなかったり、一瞬水をかけるだけで終わり、なんてことはありませんか。
我が子はこんな状態なので手洗いの大切さを教えようとして説明したところ、
「じゃあ、手洗いしないでアルコール除菌スプレーや除菌ウェットティッシュを使えばいいじゃん!」
と言われてしまったのですが、消毒や除菌、殺菌、滅菌などの言葉で頭がごちゃごちゃだっため、反論できませんでした。
今回は、我が子に説明すべく言葉の違いをまとめました。
また、アルコール除菌と手洗いどちらが効果あるのか、除菌シートはどうか等をお話しします。
消毒 除菌 殺菌 滅菌の違いと使い方は?
(1)消毒
消毒は、有害な微生物を死滅させるか除去して害のない程度まで減らすか、毒性を無力化させることです。
(2)殺菌
殺菌は、目的に応じて必要な微生物を死滅させることです。
ただし、どの程度死滅させるかは明確でないため、一部死滅させるだけでも殺菌という解釈になります。
(3)除菌
除菌は、菌を取り除くことです。(菌を殺すのでなく、菌を減らすことなので、水洗いだけでも菌の数を減らすことは可能です。)
(4)滅菌
滅菌は、ウィルスを含む全ての生物の細胞を1つ残らず死滅させることです。
(1)から(4)の中では菌に対して一番厳しい対応です。
このうち、(1)(2)の消毒と殺菌のみ薬事法の規定により使用が制限されており、使用範囲は「医薬品」と「医薬部外品」だけになります。
ちなみに、医薬品としては消毒薬、医薬部外品としては薬用石鹸などがあります。
そのため、台所洗剤や漂白剤等の雑貨品への使用ができず「除菌」という表現になっているのです。
そして、次の2つの紛らわしいので挙げておきますね。
(5)抗菌
抗菌は、細菌の繁殖を抑えることです。(カビや黒ずみ、ぬめりは含まれていません。)
(6)防カビ
防カビは、真菌の増殖を抑えることです。
アルコール除菌と手洗い どっちが効果があるの?
さて、定義を理解したところで具体的に手洗いについて考えてみましょう。
昔は手洗いというと石鹸をつけてよく洗うだけでしたが、インフルエンザやノロウイルスなどの流行によって手洗いの重要性が認識されるようになりました。
そして、その際に、石鹸で手洗いした後にアルコール除菌スプレーをかけることで予防効果が高まります。
アルコール除菌スプレーが文字通り菌を減らすのに対して、石鹸による手洗いでは細菌の餌である汚れや皮脂を落とす作用があります。
多少似たような作用がある気がしますが、アルコール除菌スプレーは量が少ないため、細菌が多く存在する場合にアルコールが不足するため、細菌の一部が生き残ってしまうのです。
具体的には、砂遊びをした手には、細菌だけでなく、砂や土、ほこりなどがたくさんついていますよね。
この手を手洗いせずにアルコール除菌スプレーをした場合、多少の除菌はできますが、砂や土、ほこりは殆ど落ちません。
手が汚いという状況は変化ないのです。
それなら、石鹸を使わずに普通の水道水だけでも丁寧に手洗いするほうが、アルコール除菌スプレーを使うよりもきれいになるのです。
ですので、結論としては、最初に石鹸でよく手洗いしてたくさんの細菌を洗い流してから、
アルコール除菌スプレーで仕上げに使うことで十分な除菌が可能になるのです。
(アルコール除菌スプレーはノロウイルスへの効果はありません。)
ただ、どうしても手洗いできない場所では、簡易的に除菌スプレーを使うというのも仕方ありません。
ただ、石鹸での手洗いがないため、除菌率がかなり落ちることは記憶に留めておくべきでしょう。
手洗いと除菌シートの効果は?
手洗いができない場合に除菌シートで手を拭いて済ませることがありますよね。
この場合、「除菌」と書いてあるから手洗いしたときと同じ効果が得られるでしょうか。
これは上のアルコール除菌スプレーと同じで、水と違って除菌の薬剤は少ないですし、手など拭く部分の表面についた細菌を減らすことはできますが、全ての細菌を除去できる訳ではありません。
また、ノロウイルス等の菌には効果がありません。
そもそも、除菌シートは昔の「おしぼり」が発端の商品であり、その後の開発過程でアルコール除菌がほんの少しの付加価値としてついた程度ですから、除菌や殺菌が完璧というものではないのです。
まとめ
消毒、除菌、殺菌、滅菌など似たような言葉が多く分かりにくいのですが、日常生活でよく使うのは「菌を減らす」除菌、医療関係で使うのが消毒や殺菌です。
そして、手洗いは菌をどれだけ減らせるかという以外に、そもそも汚れ落しが重要ですので、除菌商品に頼る前に水での手洗いが大切なのです。
確かに手洗いできない環境ではアルコール除菌スプレーや除菌シートが効果的ですが、それだけでは除菌が完璧ではありません。
ぜひ、子供たちにはこのような商品に頼る前に、水だけでもいいので時間をかけて手洗いさせる習慣をつけさせましょう。
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