「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
ビジネス文書ではこの挨拶文をよく使うのですが、どんな意味か知らずに使っていませんか。
今回は、この意味や、「ご清祥」の類似語であるご清栄やご健勝、ご隆昌などの言葉を使うとどうなのか、お喜びとお慶びの意味の違いや使い分けの必要性についてお話しします。
時下ますますご清祥ってどんな意味?
「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
この一文は、拝啓から始まる正式な手紙において冒頭の挨拶文によく使われます。
「時雨の候、紅葉の候」のような時候の語句を必要としないので、季節を問わず使えて便利です。
慣れないと難しい言葉が並ぶので、ここで単語の意味を書きますね。
時下・・・この頃
ご清祥・・・相手が健康で幸せなことを祝福する
お慶び・・・めでたいことだとお祝いする
そして「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」をくだけた言い方に直すと、
「この頃ますますお元気そうで良かったです」
という意味になります。
ご清栄とご清祥とご健勝の違いと使い分けは?
ところでビジネス文書を見ると、「ご清祥」以外に「ご清栄」が使われることが多いです。
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
この2つはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの意味を見ていきましょう。
先ずは全体の文章から。
「ご清祥」を使う場合の意味・・・「この頃ますますお元気そうで良かったです」
「ご清栄」を使う場合の意味・・・「この頃ますます会社が順調そうで良かったです」
次に単語の意味を。
ご清祥・・・相手の健康と幸せなことを祝う挨拶言葉。
ご清栄・・・清く栄える。相手の無事や繁栄などを祝う挨拶言葉。
両方とも「相手の安否を気遣う言葉」ですが、相手が個人か組織かということで使い分けするのです。
また、次の2つも似たような言葉で同じように使われています。
ご健勝・・・健康で元気なこと。相手が健やかなことを祝う挨拶言葉(個人向け)。
ご隆昌・・・勢いが盛んであること。栄えること(組織向け)。
【まとめ】
ご清祥の類似語については、相手が個人か会社組織かで次のように使い分けましょう。
- 個人の場合 →ご清祥、ご健勝
- 会社や組織の場合→ご清栄、ご隆昌
お喜びとお慶びは使い分けるべきなの?
挨拶文の前半はこれで分かりましたよね。
でも、後半についても疑問が浮かびませんか。
「およろこびもうしあげます」の「よろこぶ」は、私達の身近な漢字では「喜ぶ」ですよね。
でも、この挨拶文では「慶ぶ」を使うのが一般的です。
この理由は、「慶ぶ」という言葉には、めでたいことをよろこぶ=祝う、という意味が含まれているのですが、「喜ぶ」には祝うニュアンスが含まれていないからです。
ただし、慶ぶという漢字は常用漢字表にないため公文書において使用できません。そのため、役所などの公文書だけは「喜ぶ」を使うことになっています。
ちょっと紛らわしいかもしれませんが、通常のビジネス文書では「お慶び申し上げます」と書きましょう。
さいごに
「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
と書くのは社会人になって間もないと違和感があるでしょうけど、最初に単語の意味と使い分け方法を理解すればあまり深く悩まずに使えます。
誰宛なのか、個人か組織かを考えれば大丈夫ですよ。
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