行き渋りや不登校のお子さんと学校との関係を見て
転校したほうが良いのではないか、と考えるお母さんもいると思います。
我が家でも、不登校をしてみて、
子供と学校のギクシャクした関係は修復困難と感じたので
転校することにしました。
結果として我が家の場合は成功したのですが、
不登校の場合はいろんなことに気をつけないと
せっかく転校したのにまた不登校になってしまった、
というケースもあるようです。
今回は、転校を考えた場合のメリット、デメリットや
転校を成功させるために親がやるべきことをお話します。
【バックナンバー】
行き渋りから不登校と転校で立ち直った我が子の体験(1)~不登校まで
行き渋りから不登校と転校で立ち直った我が子の体験(2)~専門家の示唆
不登校中ホームスクールって何をするの?体験した母の気づきとは?
不登校は子供の心配以外にとんでもない面倒事が!転校決断の理由は?
転校のメリットとデメリット
不登校でなくても、転校するというのは
子供にとって不安なことですよね。
経験したことがないことに対しては、
普通の子供でも想像できない世界なので
そう感じてしまうようですね。
次に一般的なメリットとデメリットをまとめてみました。
【メリット】
- リセットして、新しく自分をやり直すことができる。
- 転校生ということで親切にしてもらえる。
- そこで良い体験をできれば、その後に新天地への転居が怖くなくなる
- 今までと違う地域の空気や文化に触れることができる。
【デメリット】
- 親しかった友達と離れてしまう。
- 新しい学校に馴染むのが大変。
- 転校先でいじめの対象になる。(特に言葉遣いや習慣が違うと戸惑うことがある。)
- 勉強の進み具合が違うので追いつくのが大変。
(学年途中の場合、教科書が変わると習う漢字の順序が異なるので
未学習かどうか1つ1つ確認する必要があり面倒。)
デメリットを解消するには時間が必要でしょう。
また、メリットを活かすのも、そこに至るまでの子供自身のエネルギーが必要だと思います。
不登校で転校する場合のメリットとデメリット
上記のメリット・デメリットは不登校の場合にもそのまま当てはまります。
一般的に考えても転校というのはデメリットの方が大きいと思われていますし
まして、不登校の場合は子供の精神不安が強いため、
メリットは全くなく、避けるべきだと考える人が多いです。
「転校しても同じことが起こる。」
「転校して不登校になったら本人はもっと自信をなくす。」
「不登校はそんなに早く解決でいないから、長期戦で子供に対応していかなければならない。」
「転校せずに子供を理解してくれている今の学校の先生に頼るべき。」
「転校は逃げるようなものだ。」
転校を考えたときに、我が家ではこのような意見を周囲に言われましたし、
自分でもそう考えた部分もあります。
でも、ここであなたのお子さんが不登校になった理由を考えてみて下さい。
- 自分に自信がなくなったから
- 友達や先生を信頼できなかったから
- いじめに遭ったから
- 勉強面で躓いたから
このような理由はありませんか?
特に人間関係の躓きだった場合は、
上記デメリットの「親しかった友達と離れてしまう。」という項目は考える必要がありませんし、
むしろ、嫌な友達関係の解消にはちょうど良い機会かもしれません。
嫌なことを全てリセットして、新たな自分、新たな人間関係を作っていくチャンスになるのです。
子供の性格というのは本人の資質もあるでしょうけど、周辺環境が大きく影響するものです。
ただ、転入先の学校の雰囲気や受け入れ姿勢によって、馴染めるかどうか決まるでしょう。
馴染めるために、どのようなことをやれば良いのか、
次に考えていきましょう。
不登校から転校を考える上での疑問解消
1)長期戦?短期戦?
不登校の解決方法は1つの正解というものはなく、
子供の状況によって異なると思います。
そして、親や周囲があれこれ考えるのも大事ですが、
子供がどうしたいのかを聞いてみることが何よりも重要です。
学校へ通いたいのか、家で勉強したいのか。
別の学校だったら通えるのか。
ただ、子供は言葉が足りずに、本音と裏腹なことを言ってしまう可能性もあるので
時間をかけてよく話し合うことが必要です。
また、上記で「長期戦で」という意見もありましたが、この問題は
家で長期間休ませても根本が別のところにあれば解決できません。
長期間学校を休んでしまうと復活するためにはエネルギーが倍以上必要ですし、
短期間で済むなら早めに転校を考えたほうが良いケースもあります。
2)逃げ癖がつくから転校するのは良くないの?
これは、私もものすごく悩みました。
でも、後になって知ったのですが、
大人が逃げるのと、子供が逃げるのを同じに考えてはいけないようです。
大人の場合は逃げずに立ち向かい乗り越えるべきことはたくさんあります。
でも、小さい子供はまだまだ脳が発達している時期で、
心を安定することで伸びる部分が多いのです。
逆に嫌なことがたくさん積み重なってしまうと自己肯定感が下がるし、
脳に嫌な記憶、思いだけが残ってしまうのです。
逃げた結果、楽しいという思いを子供が得られるのであれば
いったん「逃げる」という行為による環境調整は必要だと考えています。
また、「逃げる」という発想は「今の学校に行くべき」
という固定概念があるから抱いてしまう発想なのです。
お子さんは、小学校生活そのものが嫌なのではないでしょう?
転校というのは、単に別の学校に通うだけの話です。
学校を変わるだけで自分から動けるようになるのであれば
得るものが大きいと思うのです。
転校を成功させるために何をすべきか?
我が家は転校で上手くいったケースなので転校した方が良いという考え方を推奨しますが、
転校を成功させたという事例があまりないからやめたほうが良い、という意見の方もいるし、
実際に成功事例はあまり多くないようです。
なぜ失敗するかというと、いったん不登校となってしまうと
子供は学校に対して回避行動を取るようになってしまうからです。
学校に行く、学校に入るだけで不安に陥ってしまうのです。
その結果どのような学校でも通学できない場合が多いです。
我が子も転校したい気持ちは強かったのですが、それと同時に
学校の存在、先生、友達の存在について恐怖を抱いていました。
ですので、我が家で転校する際には子供の心のケアが大切でした。
以下、その時に気をつけたことをお話しますね。
最重要課題は
「転校先の学校に慣れること」
「自分が通うという実感を抱かせること」
です。
そして、そのために、
(1)転校先の先生方(校長・学年主任)に
子供の状況や課題を相談しておいた。(サポートブック付き。)
(2)学校の校舎を見学し、転校後の教室や下駄箱、トイレ、保健室など
一通り入って雰囲気を確認させてもらった。
(3)引越し前に何度も校舎の周囲や学校の周囲を散歩しながら、
自分が転校したらここに通う、ということをイメージできるようにしていった。
(4)スムーズに転校できるかわからなかったので、
付き添い登校の許可を事前に得て、
子供に「一人で通わなくても大丈夫」という安心感を与えた。
このように様々なことを気をつけて転校手続きを進めていきました。
幸い、転校先の小学校は実家に近い場所だったので、
毎日1時間以上かけて実家へ遊びに行き、
そのついでという口実で
子供と一緒に毎日学校の周りを一周しながら
周辺の店で買い物したり、公園で遊んだりして
「もうすぐこの町に住むのが楽しみ」と感じさせていきました。
また、学校の校庭や建物も徐々に入り、
「自分の学校」が怖くないことを確かめさせるようにしていきました。
転校してみて
子供の転校については、かなり入念な準備をしたと思います。
そして、実際に引越しして転校したところ、
準備段階では教室に入るのを怖がって拒否していた我が子も
1週間程度で普通のテンションで教室に入れるようになりました。
友達に話しかけたり話しかけられるのはその後も数ヶ月間怖がっていましたが、
幸い、転校先の先生方が全員理解して、我が子が慣れるのを辛抱強く待ってくれたおかげで
子供も先生方には打ち解けて、自分から話しかけられるようになったのです。
(転校前の小学校では一切なかったことなので、嬉しいことですが、とても驚いています。)
勉強については優先順位を下げたため、通常進度には追いついていませんが、
転校して半年経過してようやく、「勉強してみようかな」という自発的な態度になってきたのを感じます。
ようやく不登校から脱出して、子供本来のエネルギーが貯まってきたようです。
さいごに
我が家の転校事例はかなり特殊だったかもしれません。
でも、転校が良くないこと、失敗するだろう、という見解が多いようなので
成功事例もあるんだよ!とお伝えしたくてご紹介させていただきました。
不登校や行き渋りというのは本人も辛いけど、
子供を支えるべきお母さんも、本当に辛いと思います。
親子でいろいろ話し合って、楽しく過ごせる方向性を探ってみて下さい。
コメント
初めまして。こんにちは。
突然のメッセージン失礼致します。
今、お子さんはおいくつになられましたか?
その後の学校生活はいかがでしょうか?
転校し、中学、高校と進学した後のご様子をよろしければ教えて頂きたいです。
よろしくお願い致します。
望月美緒さま
コメントありがとうございます。
こちらの記事は2年前に書いたもので、今は小学校5年になっています。
その後の状況について書くとガッカリされるかな、とも思いましたが
望月さまの参考事例になるかと思い、以下長文になりますが書いていきますね。
実は、昨年までは順調に通学しており母子分離ももう少しで
なんとかなりそうだな、という状態まで進んだ気がしていたのですが、
今年4月に大きく状況が変化してしまいました。
というのも、転校した時に親身になってくれた管理職や、
支援級の担任、学年主任、前年の交流級担任が
全員転任されてしまったからなのです。
(どうなっているんでしょうね、学校の人事というのは・・・。)
そして、新しい支援級担任は子供の気持ちに対して細やかなセンサーが働かないタイプなので
その時点で子供が学校に対して気持ちが退いてしまい、再度不登校状態に陥りました。
(ウチの子だけでなく、他の支援級の子供達も数名、前の支援級担任がいなくなってから
「学校に通うと不調をきたす」という症状に見舞われています。)
我が家の場合は子供の特性も考えて、駄目なら再度の転校も視野に入れていたため
再度転校を検討し、この9月から新しい環境でゼロスタートしたところです。
ただ、これが良い方に転ぶかどうかは分かりません。
子供の特性上、慣れない環境は抵抗感があって難しいし、逃げに繋がるかもしれませんし。
前回の転校では私の実家の傍にすれば慣れている環境だから、ということで
住居環境の面では慣れるまで時間がかかりませんでした。
今回の場合はかなり離れた場所なので、子供だけでなく私自身も
全く知らない環境で、駅に行くにも迷子になりそうな感じで
キョロキョロしながら歩くような状態です。
とはいえ、子供の学校環境を考えると今の場所を選んで良かったような気がしています。
(まだどういう結果になるか分からないのですが。)
諸々の事を考えて選んだのは、「フリースクールに通いつつ学校復帰を図る」という形です。
幸い、今の地域の学校は教育委員会も含めて、無理に学校に通わせるのでなく
1人1人の状況を見て、どういう方法の学びがその子に合うか一緒に考えてくれるのです。
最初に学校に相談しに行くと、だいたいどの学校も親身になってくれるのですが、
思いつく対応方法は学校や先生の力量で雲泥の差なのですよね。
対応方法が思いつかないと、手詰まりなので学校としては何も出来なくなり
「学校へ行きましょう」という促しだけで終わるか、「放置」するしか出来ないようです。
子供が学校に通えなくて困っているお母さんにとっては
学校や先生によってどこまでやってくれるか雲泥の差というのは酷い、
全国統一して欲しい、という願いがあるでしょうけど、残念ながら
子供の個性が1人1人違うように、先生や学校も1人1人レベルが違うようです。
今のところ、フリースクールの先生も、学区の小学校の特別支援コーディネーターの対応も、
想像以上に良くて驚いています。このまま両方とも慣れていければいいな、という状況です。
残念ながら、我が家の場合は子供の特性上、小学校卒業までに
クラスに完全復活するというのは難しいだろうと考えていますし、
中学もフリースクールと学区の中学を平行して通いつつ
クラスの友達との交流が少し出来ればいいな、という感じです。
望月さまの状況と、何を期待して質問されたのかが見えないので
ウチの子供の現状をそのままお伝えしたのですが、
これで回答になっていますか?
私の周囲では、先生との相性が悪い場合に転校する、というパターンで
乗り切って成長した親子がいます。
(その親子は相性の良い先生を追いかけて転校する、ということをしていましたし、
その親子には、ウチの子供が似ているから同じパターンかも、と言われています。)
なので転校することに関しての迷いはありませんでした。
ただ、普通は引越しや転校を考えると経済的に厳しいので難しいと考えるかもしれません。
(我が家も裕福ではなく、なんとか捻出しているという状況です。)
転校を勧める訳ではありませんが、地域の学校でも先生によって
「子供の心を知っているか、知らないか」でかなり対応が違ってくるので
もし現状でお困りのことがあったら、市町村の子供支援のカウンセラー等でもいいので
今までにあったことがない専門家や先生に相談してみるのも1つの方法かと思います。
私自身、前回と違って今年度になってからの不登校は手詰まり感があって
かなり悩んでいたのですが、この1ヶ月、新しい環境で色んな人に相談したり、
子供含めて助けてもらっており、かなりホッとしました。
機会があれば、その後の話なども含めて記事にしていきたいとは思いますが、
子供がスローペースだし、今の結果がどう転ぶか分かるのも数年後かもしれません。
ですから、親子共々成長して、中学高校と無事進学できたら
また記事にしたいと考えています。
望月さまにとっては参考になったか分かりませんが、
色々考えるきっかけを下さり有難うございました。
初めまして 学区の中学校に通わせていました。 1年生保護者です。 もともと 行きたくないと 無理に行かせてしまった学区の中学校 小学校も 学区外通学しており 今回 仕方なく 学区へ行かなければいけなくなり通いましたが 今年の一年生の考えは 縄張りがあり 決まった小学校卒業生でないと クラスメイトとして、認めて貰えない 仲間はずれ 無視 悪口 嘘を回される などの被害にあい 夏休み後から学校に行けていません 本人は強い転校希望も持っており 人と関わりあう事が好きで 普通に学校通い 普通に仲間と話したり遊んだり勉強したり自体気持ちをいまも持ち続けております
第1希望の学校は 住所から 学区外の事もあり 一度断られましたが 今もその学校行きたいと 何故なら 演劇部に入りたい 俳句をやりたい 学区の学校は ありません
そうゆう意思を考え 住所を 変えて たり1希望の、学区へ引っ越しし 今は校長面接のみとなりましたが その学校に電話しましたが 校長が不在ということで 何度か電話きていますが 未だに連絡ない状態 やはり 不登校だから 学区地域でも 受け入れしたくない 面倒 問題児だからの理由で 連絡こないのか
学校通い始めて 先生から 嫌がらせうけないか
不安です
娘は本当に 人付き合い好きで 普通に学校通いたいだけなのに どうして 学校に普通に通えないのか 納得いきません
レッテル貼られた娘 中学校普通に通わせて貰えないのでしょうか?
メダカさん
コメントありがとうございます。
中学生の娘さんのことで日々悩まれて引越しもされたのですね。
通常、引越しすると住民票の異動手続きで役所に行くと思うのですが、
その時点で子供がいれば、学区の中学への転入学許可書
(市区町村によっては就学通知書などの名称かもしれません)
のような書類を受け取ると思うのですが、
それが発行されなかったということでしょうか?
もしかしたら、転出する時点で元の中学で転校手続き書類を
作成してもらっていないのでしょうか?
いただいたコメントを拝見する限りでは、学区へ引越しされたということなので
第一希望の中学に通うのは全く問題ないはずですが・・・。
公立の場合は学区であれば法的に必ず受け入れなければならない決まりになっているので
校長が不在であっても転入学許可書があれば学校としては受け取らなければなりません。
また、校長が不在だったら副校長(学校によっては教頭)がいて対応してくれると思うのですが。
本当に、学校や学校長の意識の有無によって不登校に対する扱いは様々ですが、
もし「やはり 不登校だから 学区地域でも 受け入れしたくない」
というのであれば問題ですし、今の世の中、不登校に対する考え方も変化しているし、
こういう考えはないと思います。
これは私の憶測ですが、むしろ、面倒だとは思っても
学区であれば受け入れなければならないのですから、
「大変だけど、誠意をもってやっていかねば!」
と善意を持って接してくれるでしょうし、そうでなくても
「大変だけど、誠意をもってやっていかねば!
(面倒だけど、きちんとやっていないと後で何を叩かれるか分からない)」
というところもあるかもしれません。
娘さんが前の学校でいじめに遭って不登校になった、ということですし
その時の学校の対応が良くなかったというのもあるでしょうから、
メダカさん自身が相当疑心暗鬼になっているのではないでしょうか。
(これは私も過去に経験しているので、とてもよく分かります。)
ただ、お話ししたように、公立中学は義務教育であり「受け入れなければならない」のが前提ですから、
今回通われる中学に対してはあまり先入観を持たずに接していく方が良いと思います。
もし前の学校で手続きしていないのであれば直ぐに前の学校に電話して
書類を作成してもらってから、前の市区町村と今の市区町村役場で手続きして、
転入学許可書を受け取って、今回の中学に書類を提出してくださいね。
そうでなく、転入学許可書が手元にあるのに今の中学で対応してくれないのであれば
それは問題ですから、役所や教育委員会に相談してみてください。
あと、不登校からの転入については教育委員会に相談すると
丁寧に対応してくれる可能性もあるので相談してみる方が良いですよ。
「前の中学でいじめに遭って適切な対応をしてくれず、
娘と相談して、娘が通いたい中学の学区に転校しました。
既に引越しは済ませているのですが、今の学区の中学できちんと対応してくれず
入学許可ももらっていません。どうしたら良いでしょうか。」
「前の学校でいじめに遭ったこともあってトラウマになっています。
折角新天地で頑張ろうとしているのでまた不登校になるようなことを避けたいのですが、
中学できちんと対応してくれるか心配です。」
というような内容で相談したら如何でしょうか。
もし校長先生だけがきちんと動いてくれないのであれば、
教育委員会から校長先生に話してもらう方が良いかもしれません。
「直接校長先生に電話してください」と言ってきたら、
「こちらから連絡してもいつも居なくて電話してもらえない」とか、
実際のことを話して(この辺りはいただいたコメントを読んだだけでは
分からなかったので、実際のことを正確に伝えて下さいね)、
メダカさんが疑心暗鬼になっていることを理解してもらった方が良いです。
色々大変でしょうけど、娘さんのために頑張ってください。
また何かありましたらコメント下さいね。